見出し画像

殻を破る


もの珍しいなぁ、だけの感情で、
殻付きクルミを買った。

殻剥き専用の道具はもっていないけど、
ハンマーか、ペンチで簡単に割れると
思っていた。


いざ、殻を破ろうとしてみたら、
全く歯が立たない。

こんなに硬いなんて、聞いてないぞ。

仕方なく、鬼クルミの殻の剥き方の動画を
探して、参考にする。

しばらく水を吸わせる
フライパンで乾煎りする
わずかに真ん中が割れて隙間ができたら

間に、薄くて硬いヘラなどを入れて、
ハンマーで軽く叩くと、

パカっと半分に割れる

やっと実を取り出す。


こんな一連の作業。
でも、これもなかなか難しくて、
すぐ終わるつもりで始めたら、
夜中までかかってしまった。

全部剥いて、これだけ。
綺麗に実が取れたのは一個だけで、
全部ボロボロに。

しかも、どれだけ加熱しても、
絶対に口を割らない、固い意志をお持ちの
方々が、2割ほど。

『意思の固い皆さん』

ここまで来ると、逆に
あんたたち、やるわねー
アタシの負けよ。

てな気分になってきて、
綺麗なお皿に収めてみた。 

みんな、自分の殻を破ろうと頑張るけど

このままで良い。と
殻を破られないように頑張ることも、
すごいことなのかも知れない。

なんてね。


子供が思春期の時、深く悩んでいた。
ある友達が、

その子の殻を破るのは、
親でなきゃいけない、って事はない。

自然に破れるかもしれないし、
誰かに出会って破れるかもしれない。

全てを自分でなんて思わなくていい。
きっと、何か、誰かに出会うから。

と言ってくれて、救われた。

あの時の私は、
ただ、ハンマーで無理矢理こじ開けようと
していたのだと、今はわかる。

そして、
クルミの殻の剥き方も、
今は分かる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?