ARDSにシベレスタット(エラスポール®︎)を使う?

【調べた背景】ARDSにシベレスタット(エラスポール®︎)を使うべきか、使わないべきかガイドラインを確認した。

【論文】ARDS診療ガイドライン2016
https://www.jrs.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=88

【論文の結果】好中球エラスターゼ阻害薬は肺傷害軽減と線維化 への進行抑制効果が期待できる.好中球エラスター ゼ阻害薬のシベレスタットは全身性炎症反応症候群 (systemic inflammatory response syndrome; SIRS)に伴う急性肺損傷症例 230 例を対象とした RCT にて,生存期間には影響を与えなかったものの,FIO2,肺胞動脈血酸素分圧較差(A-aDO2), PEEP,胸部 X 線写真スコアなど所見の有意な改善 のほか,人工呼吸器装着期間や集中治療室在室期間 の短縮も認められ有用性が示されている.一方, 海外での臨床試験(STRIVE)では有用性が示され なかった . この 2 つの試験結果の差異の原因として,海外の 試験では重症例が多く含まれていたことが考えられ ている.日本での試験と重症度が同程度の患者集団 に限って解析すると,日本の試験と同程度の有効性 が認められている.また,日本の試験での層別解析 からも,発症早期で肺以外の臓器障害が少ない症例 において有効であることが示されており,肺損傷発 症のより早期からの使用が有効であると考えられ る.海外臨床試験の結果を受け,4 臓器以上の多臓 器障害を合併する患者および熱傷,外傷に伴う急性 肺障害患者には投与しないことが望ましいと添付文 書が改訂されている.
その後,2011 年に施設ごとにシベレスタット使 用施設と使用しない施設を分けて行った 581 例の非 盲検非ランダム化臨床試験の結果が報告され,非人 工呼吸器使用日数と退院率,180 日生存率において シベレスタット群が有意に改善を示した. レトロスペクティブな検討では,ARDS と DIC を併発した敗血症症例に対してシベレスタットは, 生存の延長に寄与すること,敗血症による ALI に対して,人工呼吸器非装着日数や P/F 比を改善 させ,ALI 診断時に血清プロカルシトニン値が 0. 5 ng/mL 以上であることが有効性を示すマーカーと なりうる可能性が示されている. 

【対応】使うべきか、使わないべきかは迷うところ。

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