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嫌いなものを嫌いと言うより好きなものを好きと言おう。



オリンピック開会式の
ショーディレクターを解任された
小林賢太郎の言葉です。


この言葉はぼくの座右の銘になってました。


まあ、正確に言うと
KKP(小林賢太郎プロデュース公演)という演劇の
「ロールシャッハ」っていう公演の中で使われた台詞だったわけだけど。


いまは便利で公式YouTubeに動画があったりするから、見てみるのもいいと思います。



作品の登場人物に自分の言いたいことを言わせるのってすごく面白いって気づいて、
ぼくも最近、新しい挑戦を始めたんだけど。

小説書いたり。

今更気づくんじゃなくて、この時に気づけてたら良かったかもと思ったりした。


この時は、彼の作品を高尚なものだと思いすぎてたから。
自分もやりたいなんて思わなかったんだろうな。

ほんと「クリエイティブ」ってなんなんだろうねー。


「嫌いなものを嫌いと言うより好きなものを好きと言おう」こんな言葉を作中に出せるようになるまでの過程で、例のホロコーストのネタなんかがあったんでしょうか。


それこそ知らんけど。



ぼくは怒ってるんですよ。



だってオリンピックの開会式が、
完全に小林賢太郎の代表作であり集大成だったから。


昨年パフォーマー引退してなかったら、
元々ステージ演出する予定だったパラリンピックの閉会式が延期してなかったら、
自分も出てくるつもりだったんじゃない?



だって賢太郎は出たがりだから。



「エレ片のコント太郎」

ラーメンズの相方でもある片桐とエレキコミックのラジオです。

ぼくはヘビーリスナーだったからよく覚えてるんだけど。
片桐が「賢太郎は出たがりだから!」って言って、それにエレキも大笑いしてて。

小林賢太郎の自己プロデュース能力に、ぼくは多大に影響受けてると思うんだけど、
こうやって旧知の仲間に裏側をバラされるとこまで込みなんですよね。

いいなって思うのは。




ラーメンズを好きになって、
でもメディアに全然出てなかったからぼくはこのラジオを聴き始めた。

片桐仁は最初からやばい人だったけど、明らかに演出じゃないやばい部分が出始めたときからリスペクトと軽蔑を込めて「片桐」って呼び捨てることにしました。

あ、本人に会ったときはもちろん片桐さんって呼んだけど。笑


それと同じ頃からかな。


ぼくは小林賢太郎を信仰することを辞めた。


ラーメンズの話できる友達が周りにいないから、
ネットで見るようしたらみんな無条件に小林賢太郎は天才だって言ってて。

そしたらなんか嫌になっちゃったんだよね。

「チケットが全然売れねえよ!」って言ってるエレキコミックのほうが可愛く見えてきちゃって。



ぼくが思うに、エンタメを見る秘訣は
「盲目に好きでいないこと」
だと思う。



だからぼくは小林賢太郎作品を批評するようになりました。
なにをしたいのか分からなくなったし、早くラーメンズ本公演やれよと思った。

ラーメンズのことを好きじゃなくなってみた。




時が過ぎ、昨夜の開会式を見るわけです。



オープニングから小林賢太郎すぎた。


まず、真矢ミキさんと一緒に久ヶ沢徹さんと竹井亮介さんが出てくる。

五輪のマークは木で作り、

各国が50音順に入場する。
漫画の吹き出しのプラカードと共に。


なだぎ武さんと辻本耕志さんが出てくる。

友達大集合だった。



そして、劇団ひとりさんが出てくる。


みんなが絶賛してたピクトグラムの演出も、
あれこそが小林賢太郎なんだよ。


すごいことだ。賢太郎は出たがりだから。

解任されたくせにずっと1番前にいた。




この大舞台に友達大集合させておいて、
ちゃんと相方は置いてくるというのも彼らしい。


片桐は開会式の日にキングオブコントに出たり、オンラインサイン会をしていた。


オンラインサイン会は中止になったけど。


ああ、面白かった。
開会式すごく面白かった。



喜んでくれてたって。

会場で見れたのかな、テレビで見たのかな。
それすら分からないままだ。



小林賢太郎がなにやりたいか分かんなかった時期もあったけど、
今回ばかりは明確に分かるんだもの。
だからやりきれない。


やれるとこまでやりたかったんでしょ。
自分がどこまでいけるか、
試してみたかったんでしょ。
最高の舞台だもんね。
断ったほうが良かったなんて言ってる自称ファンは絶対ファンではないよ。
オリンピックの演出なんて、嬉しくて仕方なかったんでしょ。悔しいね。




開会式全部見終わってから思い出したんだけど、

おれ、小林賢太郎がパラリンピック閉会式演出するって発表されたときの一般出演者募集に応募してたわ。

記念受験したこと、すっかり忘れてた。



楽しませてくれてありがとう。


よく好きじゃないなんて言えたもんだ。


ぼくはこんなに怒って、こんなに楽しんでる。
オリンピックの開会式でファンサービスを感じ、集大成を見せられて。

ラーメンズ好きじゃないなんて、

よく言えたもんだ。

好きじゃないわけなかった。

ぼくはこれからも好きなものの話をする。

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