見出し画像

【スタンダード】『ファイレクシア:完全なる統一』による新スタンダード環境変化予想

こんにちは、ちょぼ裂きです。ここではまだ全カードが公開されたばかりの新セット「ファイレクシア:完全なる統一」のカードがスタンダードに追加される事によるスタンダード環境の変化を予想してみようと思います。
過去に似た様な企画において、数々の人達がさまざまな予想をしながら、大半は当たっていないことを考えるとこの予想は相当難しいものと思われますので、参考までに。

1・アグロの高速化、ミッドレンジ化

今回の一番の目玉の一つとして、友好色ファストランドの再録が挙げられます。

緑系ビートダウン復権のカギ

これにより、ペインランドと含め最大8枚のアグロ向け友好色アンタップインの土地が採用出来る為、多色のアグロデッキの構築がかなり現実味を帯びることは間違いないでしょう。今までの有力なアグロはまあまあ細いクリーチャーで構成され、ミッドレンジ化も視野に入れた型もあった「赤単アグロ」だったので、これからはグルールカラーなどにすることで骨太なクリーチャーで素早く攻められるはず。
しかし、アグロにとってはまだまだ苦しい時代は続く可能性も十分考えられます。2体の「抹消者」の追加はアグロに対して完璧すぎる程の脅威です。

戦闘をすると言う行為自体がアド損になるカード達

ファストランドのアンタップイン条件のこともあり、これからのアグロは4ターン目までに勝負を決められるかが勝利へのカギでしょう。
仮に4ターン目までに完全に削り切らなくても、4ターン目以降にはかなりの性能を誇るクリーチャー「結ばれた者、ハラナとアレイナ」、「轟く雷獣」などがいる為、それまでにライフを削れれば一体ブロックしたところでやられてしまう状況に出来るとは思いますが、優秀な軽い除去が複数ある環境に置いて、果たして間に合うのでしょうか。
現在の1〜2マナ域でガリガリライフを削れるクリーチャーは割と少ない割に、3〜4マナ域は太くて効果も強いクリーチャーは多いのでここはいっそ「黄金犬」でマナ加速して3〜4マナ域を1ターン早く出してしまう型も良いかも知れません。

何故か優秀な能力を二つも持っているので強化先としても良いなど色々活用出来るワンちゃん

また、テンポよく「抹消者」などの脅威を対処して、早期に盤面を制圧するミッドレンジ型も生まれると思います。特に今回の新セットでは緑の3〜4マナ域クリーチャーに大型新人が複数追加されたので、無理に最速のゲームエンドを目指さず殴り切るデッキもありそうです。

10年前だと確実に強過ぎるであろうメンツ

更に「迷宮壊し、ミグロズ」の追加は、クリーチャーをメインに採用しながらさまざまな状況への回答をアドバンテージを失うことなく出来る為、対応力も増しました。

見た当初は能力起動にマナがかかることを理由にそこまで強いと考えていなかったが、よく考えると3マナ4/4にちょっとした呪文が付いてくるのは強い。伝説なのも「英雄の公有地」がある今の環境ではむしろメリットである。

脅威への対処の為に恐らく白か黒を足す必要がありますが、英雄の公有地やエスパーレジェンズが環境で活躍しているなどのこともあり意外と三色のビートダウンも成立し得ると考えています。
その場合、個人的には「業火を放て」、「ウィンドグレイスの魂」などの対応力とクリーチャーの質の良さを両立出来る「ジャンドカラー型」、もしくは白の優秀な軽量除去や軽量クリーチャーを搭載出来てテンポの良い「ナヤカラー型」が良いと踏んでいます。錐三色なら打ち消しと良質なクリーチャーを兼ね備える「緑青黒」なんてどうでしょう?

2・白単ミッドレンジが更にメタゲームに食い込む。

今回では新たな「抹消者」として「ファイレクシアの立証者」と言う新規カードが追加されましたが、これは白単ミッドレンジが少し攻め手に欠けていたという状況から抜け出せるキッカケになれると思います。

メタゲームを動かし得る程の強力な効果と見た

今までの4マナ帯とのクリーチャーとしては「セラの模範」がいましたが、長期戦には最高の一枚であるもののクリーチャーとしての性能は並みで、クリーチャーで複数攻められるなどの危機的な状況に対しては対処出来ないという弱点がありました。今回のこのカードはそんな状態にピッタリの一枚で、立っているだけで戦闘を抑制出来ます。
他にも2マナで毎ターンクリーチャーを展開出来、条件を満たせば出てきたクリーチャーに絆魂を持たせる「スクレルヴの巣」、X=5以上で唱えた時には殆ど2ターンで勝ててしまう盤面を作れる「白の太陽の黄昏」、そして今回一番の目玉である「機械の母、エリシュ・ノーン」は、パンハモニコンと倦怠の宝珠の良いとこどりした上で範囲が強化され、クリーチャーを安定してブロック出来る壁であるなど、戦術やサイドボードにかなりの柔軟性をもたらしそうなカードが多く登場しました。

たまに出てくる、明らかに色々と準備したと思える程ポーズや背景が決まり過ぎている一枚絵。最近だとジョイラさんが似たようなことをやってた。

また、自前で破壊不能を付与出来る上に効果もスタッツも優秀な「ドミヌス」サイクルの白担当「栄光のドミヌス、モンドラク」も普通にそのまま組み込むだけでも活躍しそうな上、このサイクルのクリーチャーに対面しても「軍備放棄」でテンポ良く対処が可能と言うのは中々の強みです。

スタンダードに帰ってきたソープロ

他にも「骨化」はまさに白単の為にあると言っても良いカードで、微妙に汎用除去の枚数が足りなかったり、プレインズウォーカーへの対処が出来なかった点を克服してくれる良いカードです。また少し微妙に思える一時追放もカウンター剥がしは出来る為、案外それで十分かも。

あの写真用にポーズを取らせていた様に見えたバックの人達ってそういうシステムだったのね。

ただし、相変わらずアドバンテージ獲得戦に対して強いと言う性質は変わらず、上記の多色アグロなど、ある程度対応力のある早いデッキや、アドバンテージをすっ飛ばして勝つコンボ、リアニデッキには対してあまり活躍出来ないと思います。一応早いデッキに対しては「魂の仕切り」「一時的封鎖」がありますが、それらで果たして止め切れるのかは少し疑問です。また今回の新セットでは変わった効果のカードがある為、何かしらのコンボが成立する可能性もあると見ています。これ以上踏み込むとあまり正確な予想は出来なさそうなのでこれくらいに。

やはりここまで軽い全体除去は強いか?ただすぐに割られるかも。

3・エスパーミッドレンジはまだ活躍出来るが、グリクシスミッドレンジは新たなデッキチューニングが必要。

優秀な除去がありながら、絆魂持ち、もしくは5マナ程度の大型のクリーチャーによる防御やラフィーンによるサイズアップなどによりビートダウンに対してある程度戦える為、エスパーミッドレンジはまだまだ使えるデッキだと予想しました。
しかし、ビートダウン型、つまり「英雄の公有地」を利用して伝説のクリーチャーをふんだんに使い、クリーチャーの優秀なカードパワーで戦う形については、緑などを使ったビートダウンにも渡り合える程のクリーチャーを手早く出せず、攻撃が少し躊躇われる為、ビートダウン型のエスパーの序盤は少し厳しそうです。ただ飛行持ちのクリーチャーやラフィーンによるサイズアップによりゲームが進めば進む程有利に立てそうなので、少し除去を多くしてクリーチャーを他のものに変えれば戦えない事はないと思います。

ヤバイとビビられてたニクシリスが値下がりする中、急に評価され始めドンドン値上がりしたデーモンさん

一方、グリクシスは序盤のクリーチャーは新たなクリーチャーに対しては一方的に取られるサイズである上、横展開に弱くライフ回復手段もないのでビートダウンに弱く、ゲームを掌握し始めるのが少し遅めのデッキである為、やや不利な立ち位置になると予想します。
ただ序盤の除去などに関してはかなり優秀なので、デッキチューニングによっては活躍出来ると思います。
また、今回のセットは青と黒に構築でも活躍出来そうな毒カウンターシナジーのカードがいくつかある為、それらを吸収して全く違ったデッキになるかも知れません。
また、今までの定番カード「絶望招来」は相手の盤面が弱い時に強く、既にクリーチャーを多数展開しているとあまり強くない上に対処手段になっていないのでビートダウンが流行った場合、絶望招来を抜いた型が出てくると思います。例えばソルカナーを採用するなんてどうでしょう?

そういえば自分がマジックを始めた頃の去年の三月末にはこれがカスレアと呼ばれていたんだっけ。そう考えるとニューカペナってなかなか強いセットだったんだな。

4・新たなシナジーのあるデッキが生まれる。

ここからは新しいタイプのデッキ予想ですのでかなり実際の環境と異なる評価を下している可能性が大いにあるので、あくまで参考程度に。

毒殺、堕落デッキ

今回から新たなキーワード能力として毒カウンター、ないしそれを使った「毒性」「堕落」や、関連能力として「増殖」がスタンダードに追加されました。まずは毒性から見ていきましょう。

毒性Xは「毒性を持つクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、そのプレイヤーは、そのクリーチャーX個の毒カウンターを得る。」と言う能力です。今までの能力で一番近いものでは「感染」がありましたが、「戦闘ダメージを与える代わりにプレイヤーには戦闘ダメージの数だけの毒カウンターを与える」と言う能力で、相手のライフを一切減らさない為、毒カウンターを駆使しないデッキでは腐ると言う欠点がありましたが、毒性は戦闘ダメージも毒カウンターも両方与えます。その分クリーチャーに対して-1/-1カウンターを置く効果や、与える毒カウンターを増やし辛くなりましたが、汎用性は上がりました。
で、肝心の毒性を持つクリーチャーですが、基本的に構築レベルで使える程の毒性持ちクリーチャーは結構少ないです。上記のクリーチャーのうち「ふくれた汚染者」と「ティラナックス・レックス」は文句無いですが、後述の堕落の為には低マナである程度使えるクリーチャーも用意した方が良いでしょう。
「敬慕される腐敗僧」はかなり緩い条件で毒性カウンターを稼げますが、構築の幅は狭まります。「多汁質の頭蓋住まい」や「腐り腹のネズミ」など黒のクリーチャーには軽量かつ扱いやすいものが多いので、単純に殴って毒カウンターを貯めたいなら黒のクリーチャーが良いかも知れません。

どっちも「除去は打ちたくね〜ッッ!」となる。その癖しっかり毒性を持っている為、厄介。ただし見た通り戦力としてはリミテレベルなので活躍出来るかは怪しい

「堕落」は能力語で、「対戦相手が毒カウンターを3つ以上持っている場合」に何かしらのメリット効果がある能力です。
そしてその堕落ですがいくつかのカードには達成した時のメリットがかなり大きいものがあります。

そのままでも割と強いのに、堕落すると2マナインスタントでクリーチャーはなんでも追放!
「火消し」が「対抗呪文」以上の打ち消しに!
「予言」が「物読み」に!

これらのカードは青や黒に多く、また後述の「増殖」も青と黒に多いので毒カウンターを使ったデッキはビートダウンも視野に含めるならなら「青黒緑」のスゥルタイカラーが良いかと考えています。

「増殖」は「望む数のパーマネントやプレイヤーを選び、その後すでにそこにあるカウンター1種類につき、そのカウンターをもう1個与える。」と言う効果です。そして今回のカードは軽くて増殖を行えるものが多いので、構築でもかなり現実的に増殖を安定して行えると思います。

増殖が出来る序でに除去やコンバットトリックが出来る。1マナインスタントと言う軽さが売り
多色化&マナスクリュー対策と増殖を両立出来る
ライブラリー3枚を掘りながら増殖

また、直接対戦相手に毒カウンターを与える効果のカードもあり、そもそも毒カウンターを一つも与えられないと言うこともあまりなさそうです。

キャントリップ付き

ここまでお膳立てされると、構築でデッキが組めないと言う事は無さそうに思えます。
ただし、これらのカードは比較的消極的、もしくは遅めのゲームでないと活躍出来ない傾向がある為、コントロールで採用される、もしくは環境のスピードについていけずに活躍出来ないと言った未来もあると思います。

油カウンター

油カウンターは今回のセットにあるメカニズムで、そのカウンター自体に効果ないもののそれを参照して効果があるカードが多く登場しました。
そして今回の注目ポイントとしては油カウンターサポートカードが妙なほど使えそうであると言うことです。

「これニューカペナのカードだよ」って言ってイラストだけ見せると騙せそう。

このカードは軽さや効果もさることながら、比較的軽いコストでトークンクリーチャーを生成出来る点がとても優秀ですね。そして油カウンターを参照するカードで強そうなのはここらでしょうか。

下環境でも注目の一枚
しっかりトランプルを持ってるのが偉い

今の私にはどのようなデッキとなるのかは分かりませんが、専用構築でなくとも活躍出来る点などを加味して注目に値するメカニズムだと思います。

アーティファクトシナジー

新ファイレクシアはもともとミラディン、ないしアージェンタムと呼ばれていた、金属で出来た次元である為、今回はアーティファクトも推しています。よって今のスタンダードには「神河:輝ける世界」「兄弟戦争」と、アーティファクトをテーマにしたセットが3つに増えることになります。

今回、アーティファクトデッキでの注目カードは「板金鎧の猛攻」でしょうか。まさかのあの悪名高い「親和(アーティファクト)」の再来です。

よく見ると背景にもダニがビッシリ!そしてノーン様の名台詞をオマージュするアジャニとネタがいっぱい

その分効果は全体+2/+1修正のみと控え目ですが、「第三の道の偶像破壊者」、「継ぎ接ぎ自動機械」と現スタンダードには下環境にも通用するアーティファクトシナジーを形成するカードが多いことを忘れてはいけません。 

何故か護法が付いているのが割とおかしい。
フレーバーテキストを見るにコイツはインスタのキラキラ女子よりも満足して暮らしてそうである。

更には「メカ巨神のコア」「魅知子の真理の支配」など、必殺技にもなり得るカードがあり、パワーストーントークンなどアーティファクトを唱えやすくするメカニズムもありながら、「瞬足光線の大隊」などもある為かなりアーティファクトデッキを組みやすいスタンダード環境ではないでしょうか。
正直、今の私としてはこのタイプのデッキは「セレズニアエンチャント」のような「そこそこ強いが大会では活躍出来ないデッキ」と考えていますが、ひょっとしたらあるかもしれないと思い一応書きました。

最後に

今回は中々面白い性能で、かつ使ってみたいと思うような効果の強力さを兼ね備えたカードが多くデッキを考えること自体がとても楽しいと感じました。私は特に「敬慕される腐敗僧」に注目しており、腐敗僧を使ったヒロイックデッキをもうサイドボートも含めて考えています。数日後には各カードの役割の解説も含めた、そのオリジナルデッキについての記事を予定しています。それではまた!

おまけ・少し気になったカード

ここから先は「多分環境で活躍しないと思うけどひょっとしたらあるかもしれない」と思ったカードの紹介です。上記のカードと比べてカードパワーは微妙なので、興味がなければ読み飛ばして良いです。

毒性を持つクリーチャーのロード。本体のスタッツも次第点ながら、ダニトークンなどを一体ずつ強化出来るのは便利。軽いので環境でも活躍出来るかも。
こちらも次第点のスタッツながら優秀なバーン効果がある。特に多色環境である現スタンダードにはまず効果が誘発しないことはない。問題は赤の立ち位置が「抹消者」によって非常に悪いことか。
ターン1制限もなく、ドレインなので責められてもある程度は耐えられるのが偉い。上記の通り増殖自体がやりやすい上に盤面次第では強力な効果なのでイケるかも。
毒性を持つクリーチャーなら一発で堕落を達成出来る。戦闘面では何も効果がないが、なんとなく付いているリアニメイト効果が厄介。接死持ちのクリーチャーにつけるのはもちろん、「試作」持ちのクリーチャーなら更に厄介。
どの効果も腐らないものでありながら、2マナ3/2というのが割と反則。起動もインスタントで出来る為ブロックしながら相手の盤面を崩す事が出来るのは面倒。
鉱炉と前線の剣についてはそもそも装備品を付ける暇があるのかと言う疑問があってあまり使われないかなと。特に現在の緑と赤のアーティファクト・エンチャント除去は優秀なので仮に採用してもすぐに割られるのでは?
これについては切削で墓地を肥やせば土地が選ばれる可能性が高まり、また普通に唱えてもその頃にはクリーチャーとしての性能が弱く、また狙ったカードでない可能性があると言う点からそこまで強いとは思っていません。
ただやっている事は強力に違いないので、何か思わぬ形で活躍するかも
2/1飛行毒性1と言う攻防共に優れたスタッツでありながら、うまく構築すれば不死身のブロッカーになるので「ディミーア増殖コントロール」と言うデッキがもし出来れば強そう。
性能はマナ相応ながら何故かマナコスト軽減能力もある。4マナで唱えられれば構築でも充分使えるだろうし、1点全体火力もダニトークンによく効くし、これはひょっとしたらあるかも
Twitterで一瞬トレンド入りしたマナクリ。「タップ状態になるたび」なのでマナが出る時はもちろん、攻撃しても墓地の好きなカードを追放と言う恐ろしい程の便利さ。これは能力起動のコストで払っている訳ではないので墓地にカードがなくてもマナは出るのが素晴らしい。ただ強制効果なので何かしら一枚カードを追放しなくてはならない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?