【自己紹介】新井英樹
自己紹介で、自分の一番好きなものを書こう、と思い、新井英樹。
人間の本能には、『誰かと同じ景色を見てる』って確認したい欲求があると思う。
赤ちゃんが話始める時、『食べたい』『寝たい』じゃなくて、『ママ』『ブーブー』『ワンワン』から言葉にするでしょ?
あれって変じゃん。
欲求から言葉を覚えるべきだよ。そっちの方が、より快適に過ごせるから。
それなのに、母親見たら『ママ』、車が通ったら『ブーブー』、犬がいたら『ワンワン』っつうわけ。
つまりそれって、『今わたしが見てるものは、ママで合ってますか?』って確認なんじゃないかなって思った。
『これはブーブーで合ってますか?』『ワンワンで合ってますか?』って聞いてんじゃないかなぁ?
誰かと同じものを見てるって、確認したい。
これって、大人になっても同じ。多分。
この世界の見え方が合ってるって誰かと確認し合いたい。
ちょびにとって、新井秀樹の漫画がそれだった。
世界の見え方が同じだ、っていう安心感。
だから、何度も読み返しちゃう。
ここに帰ってくると安心する。
何かしらの理不尽にぶつかった時、新井さんの漫画のセリフがよく浮かぶ。
ちょびの育ての父が、癌になって、余命宣告された時。
この漫画を読み返した。
絶望との向き合い方の話。
自分より大きい存在、例えばそれを、『運命』って言う人もいるし、『地球』とか『宇宙』とか『自然』とかそういうの。
その大きい存在との距離感が優しいなぁって思った。
空しい、と美しいが一緒。
愛しのアイリーンで『国境を越えられるのは、金とセックスと暴力』っていう話が出てくるんだけど、ちょびもずっとそう思って生きてきた。20代。
人と人が分かり合うことは無くて、金、セックス、暴力だけが、一瞬分かり合えたって勘違いできるアイテムみたいなもの。
漫画の最後に載ってた、誰かの解説で、アイリーンと岩男は「金、セックス、暴力」じゃなく「愛」で結ばれた瞬間があった、って書かれてたけど、全然しっくりこなかったなぁ。
あれは、「愛」で結ばれたくて最後まで戦った二人、なんだと思うんだよね。
だから、空しくて、美しいんじゃないかなぁって。
人と繋がりたいって思う。
でも絶対無理だろうって思う。
それを否定したい。
そういう、空しくて美しい、の戦いなんじゃないかな。
育ての父、血は繋がってない。
ちょびが、小学校6年の時、初めて会った。
すごく良いお父さん。ちょびから見ても、多分、世間一般から見ても。
まぁでも、いろいろあったな。笑
いっぱいぶつかった。喧嘩もした。
半面、むちゃくちゃ仲良くもあった。いっぱい話した。
血の繋がってる家族じゃない。
だから、血の繋がってる家族以上に、話したがったのかも。
他人同士が一緒にいようとすることって、そういう戦い、な気がするんだよね。
それを「愛」って呼びたい人もいるかもしれないね。
ちょびは、それがなんか、空しくて美しい、の戦いだよなぁって思った。