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「居る」ことしかできなかったわたしの10年間

今思えば無知だったなあ、それでいて一丁前に夢を語っていたなあ、と、働き始めてすぐのことを思い出す。

長いことわたしを知っていてくれている方であれば、なんとなくずっと「仕事が忙しそうで」「でもなんか会社のことが好きそう」なやつであるということを、感じてもらえてたんじゃないかと思う。

何をするのにも時間がかかるわたしが、10年間勤めたちいさな会社のストーリーを今日はお話させてください。


はじめてコットンズのドアをたたいた日

遡ること、10数年前。大学で広告を中心にメディアに関する勉強をしていたわたしは、就職活動に意味が見出せず、大学4年になったある日突然新しいバイトをはじめたり、コピーライター養成講座に通ったりしてそこそこ好きに過ごしていた。12月、ついに仕事より先に都内に家を決めてしまい、2月に卒業旅行も終えてしまった。さ〜、そろそろ就活再開するか!と動き出してから、2社目に受けたのが「コットンズ」だった。確か内定が出たの、卒業式目前の、3月10日くらい。(超ギリ!)

可愛らしい黄色いドアをノックして、小さなオフィスで当時の社長とチーフに面接をしてもらった。初めてちゃんと会話をしてくれた気がして、すごくうれしかったのを覚えている。大きな窓からは東京タワーが見えた。


どうやって走ろうか迷いはじめた日

入社してからあたたかい上司や先輩、同期の子もいて、家族のような雰囲気で毎日を過ごしていた。お仕事も楽しかった。でも、1年間でたくさんの変化があった。これは、コットンズが挑戦しようとしている証であり、必要なことだと思ったけれど、そこで自分が何ができるのか、どんな順番で、どうやっていけばいいのかが、その頃のわたしには全くわかっていなかった。そして、実現する力をまだ持っていないことが、歯痒くて、仕方ないけど、やっぱり悔しかった。

関わる人が変わっていったり、大好きな社長や先輩との物理的な距離が離れてしまったり。そんな中でまだ力のないわたしがやれることというのは、「ここにいること」「今できる仕事を頑張ること」だけだったように思う。目の前の変化にみんな必死になっていたし、途中から入った人がその変化についていくのはほんとうに大変だったと思う。辞めざるを得なくなる人に何もできなくて苦しいときもあった。わたしも、どうやって走るのか、ちょっとわからなくなるようなこともあった。


8年前のわたしにとって大切な日

その後、大阪から先輩がきてくれたり、新しい上司ができたりして、変化しながらも頑張る日々。大きなデザイン案件に初めて挑戦することになったのだけど、今思えば本当に何の役割を果たしていたのか。。わかんないのに、全力で走ってる感じ。よく褒められることは、「根性」。以上!って感じだった、体育会系のわたし。

そんなある日、ブレーンとして売り込みに来たのが、現在の代表の尾﨑だった。「なんか、素敵な人が来たよ〜さちさんも、きっと好きだよ」と先輩が教えてくれて、作品集を見たりして。「今度、面談することになったよ〜」ということで2回目に会社に来てくれたとき、わたしはパーテーションの隙間から耳をすましたりしていた!まさか、このあとの8年のことなんて予測できるわけもなく、のん気に、「髪の長いひとだな」と思ったりしてたのだ。

このときの話は、尾﨑の目線でこちらの記事にも書かれています。

コットンズで面談を受け、「(ブレーンとして)また何かあれば…」と、ポートフォリオを置いて帰る訳ですが、数日後、大阪本社の役員が私に会いたいという連絡が。ぜひ、と翌週に会うことになるのですが、どうもブレーンへの接し方ではなく、あれ? これって就職面接? 的な雰囲気。役員の方は、私をブレーンではなく東京支社のアートディレクターとして採用したい、というお話でした。知らぬ間に面接へと変化し、あれよあれよと、条件のお話。

(知らぬ間に面接っていうのは、あまりに説明が足りない気もするけど、まあ、よしとして...)


たくさんたくさん話した日

その頃のコットンズについては、尾崎の目を通して書かれた下記のnoteを読むとよくわかる。楽しいこともたくさんあったし、決して仲が悪いわけではなかったけど、会社としては、良い状況だとは言えなかったんだと思う。

私の率直な感想は、一言で言いますと「社内がばらばら」ということです。こんなに少人数なのに、それぞれ何をやっているかがわかりません。

この記事に出てくる「Sさん」(不思議ミラクル小動物)はわたしのこと。わたしはとにかく思っていることや、「こうしたい!」という思いや夢みたいなものを、それはそれはたくさん話した。とにかく変わらなきゃいけないんだという思いだけあった。その頃のわたしは経験も力もない新人だったし、的外れなことも言っていたと思う。それでも大きい目をまっすぐこちらに向けて、いつだって真剣に聞いてくれた。

会社のあり方や理想の姿は、その会社によって様々です。私は、このSさんの考える理想の会社に近づけることこそが、「コットンズらしさ」を体現するための最初の一歩なのではないかと直感的に思ったのです。
そこで「Sさんの想いが全部叶うように、私がこの会社を変えていこう」と考えました。

もちろん当時からとても信頼していたけれど、こんなふうに思ってもらっていたなんて、このときは気づいていなかった。子どもで、のん気で、やっぱりまだまだ、甘えた新人だったんです。


コットンズを更新していく日

アートディレクターとして入社した尾﨑が役員になり、東京コットンズを正式に引っ張っていってくれることになってからは、「コットンズ」はどんどん「コットンズ」を更新していった。ひとつずつ、ひとつずつ、問題を解決して。ようやくわたしも「デザイン案件」の進め方や、プロデューサーとしてやるべきことがわかってきた。できることが増えたり、自分たちで自分たちの道を切り開いていくのは、めちゃめちゃ楽しかった。

新しいメンバーが入社してどんどんパワーアップし、お客さんや仕事はどんどん変わっていく。できることが増えれば、求められることも増える。それを繰り返して、ステップアップしてきたように思う。

定期的に理念や方針が示されることや、「今、何のために何をするのか」をほんとうに丁寧に伝えてくれるから、不安はなくなり、スタッフの心も、ひとつになっていったんだと思う。チームワークは年々最強になった。その全〜部を、わたしはずっと体感してきた。

「こうなりたい!」って掲げたことは、ちゃんと全部かなっていた。あの日のおしゃべりがスタートで。道すじをたてて、解決策を見つけて、わたしたちに伝えてくれて、見ていてくれて、導いてくれたのは、ほんとうに、彼女だったんです。


10年かかって、何かを伝えられるような気がした日

大変に長い自分語り(自社語り)でしたけれど、このnoteを書いたきっかけは尾﨑が新しい挑戦のひとつとして、書籍を出すことになったこと。出版に至った経緯や思い、本を通して伝えたいことなど、たくさんの人に知ってほしいと思い、SNSでの発信をはじめました。そうしていくうちに、自然と自分の過ごした時間をどんどん思い出すことになり、わたしの登場するvol.2の記事を読んで、書かずにはいられなくなりました。


とにかくこんなふうにもう全部がギュッと詰まっていて、「うちの社長が本出したよ〜」ってだけの気持ちではないんです。この書籍を通して叶えたい尾﨑の夢は、コットンズの夢だし、わたしの夢でもあります。最初は「居る」ことしかできなかったわたしが、10年経って、こういうことをやっと伝えてもいいような気がして、書きました。

ちいさな会社のちいさなストーリーだけど、紛れもなくたくさんの人がいて、10年のときが流れた。まだコットンズもわたしも進んでいく途中だけど、とにかく居続けてよかった、ほんとうに心からそう思います。

今度はこの本が、少しでも多くの方に届き、役立つことを願っています。

少しでも気になってくださった方、書籍『デザイン重視の経営術(仮題)』の詳しい内容は下記をご覧ください。こちらの記事では章の一部も公開しています。

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うれちい