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「獣の国」第1幕 第9場(死合)

死合しあい

■ スカートのスリットから、太腿ふとももに装着したナイフホルダーに手を伸ばすライラ。



■ 椅子の背を前にして座り、イツァークを吊るし上げている迷彩服の男の背中を見ながら、ドルジがアロに話し掛ける。
(ドルジ)おいおいレッドマン
(ドルジ)あの彼氏 初日で終わっちまうぞ
(ドルジ)男に対しては慈愛の心はないのか?

■ 無表情のまま言葉を返すアロ。
(アロ)通過儀礼だ
(アロ)ここで誰かの助けを必要とするなら
(アロ)この先もずっと必要ということだ





■ イツァークの右手が迷彩服の男の頭に向かってのろのろと動いていく。

■ イツァークの指が迷彩服の男の後頭部を探っている。



嗜虐しぎゃく的な喜びに、迷彩服の男は歪んだ笑いを浮かべている。





■ 突然、電流が走ったかのように身体が硬直する迷彩服の男。



■ 迷彩服の男は目をき、その口から太く赤黒い舌がピンと飛び出す。

■ イツァークの首から迷彩服の男の手が離れる。

■ 白目をいた迷彩服の男の顔、大きく開いた口からは舌が垂れ下がっている。



■ 大きな音を立て、硬直したまま仰向けに倒れる迷彩服の男。

■ 倒れた迷彩服の男の首から、血が床に広がっていく。





■ 稲妻のように宙を飛ぶナイフ。

■ 通信室の扉を開けようとしていた痩身の男の耳をかすめ、ナイフが扉に突き刺さる。



■ 立ち上がったライラが、威嚇するようにもう一本のナイフを不気味に揺らしている。



■ 薄笑いを浮かべながらも脂汗あぶらあせをかき始める痩身の男。

■ 薄笑いを顔に貼り付けたまま、痩身の男が後退あとずさっていく。





■ 通信室の扉が開く。

いぶかしげな表情で部屋から出てくるレベッカ。



■ 床に血を流し、仰向けに倒れている迷彩服の男。

■ 壁際に座り込んでいるイツァーク。


■ 状況に気付き、両手を口に当てるレベッカ。
(レベッカ)!

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