ヒア アフター

予備知識なしに観ました。
冒頭に登場人物のひとり(セシル・ドゥ・フランス)が災害に見舞われるシーンがあり、スペクタクル映画かと思いました。
しかし、その後マット・デイモンが登場。彼は霊媒師なのですが、もう霊媒師はやめて、工場で働きます。工場でも、リストラの噂が囁かれたりしていて、派手さは微塵もありません。
地味な映画です。映像的に派手な見せ場は冒頭だけなのです。
「地味」と書きましたが「退屈」と同義ではありません。三人の主人公が、それぞれの悩みや苦しみを抱えて生きる様を淡々と描いていく。
最後に三人は同じ場所で顔を合わせることにはなるのですが、そこでも派手な出来事は起こらない。もちろん、多少は盛りあがりますが。
しかし、この映画、きちんと最後まで見せます。面白い!と書くと、ギャグがすごいのかとか、どんでん返しがあるのかとか、いう解釈をされる方もいらっしゃると思いますが、ほとんどないです。
ストーリーテリングが上手で、映像も洒落ているのです。そういう映画をよく理解した作り手が丁寧に作った結果として、良質な作品が仕上がっている。
映画を見終わって、監督がクリント・イーストウッドだと気づきました。このクオリティ、納得です。

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