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赤の涙

スペイン・ウルグアイの合作作品。

学生運動に参加していたリリアナは、軍に逮捕されて監禁・暴行を受け、収容所に収容される。彼女は出所後に仲間と一緒に自分たちをひどい目に合わせた軍人を告訴する。という物語。

かなりヘヴィな題材なのだが、リリアナがなぜ学生運動に参加したのかとか、出所後に写真家として成功したという設定の割には、そのあたりの経緯も語られない。物語の冒頭に平和維持軍の兵士たちが少年を虐待している動画を見て憤慨し、このままでは終わらせないというのだが、その後も語られない。

このように、説明不足であったり、回収されない伏線があったりで、中途半端な印象を受ける作品だった。

ウルグアイの軍政の時代について知っている人が観ると、違った印象を受けるのかもしれないが、小生はそのあたりの知識がないので、単純に映画として鑑賞し、このような感想になった。

社会的なメッセージを伝える映画というのは必要だと思う。ただし、観客に提供する以上は、作品としての評価は避けられない。扱っているテーマが重いか軽いかという問題とは別なのだ。ひどい目にあったんだ、ということを伝えるのはいいが、その事実をもとに、なにを伝えたいのか、どのように現実を改善したいのかという想いを知りたい。

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