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『シン・シティ 復讐の女神』(2014年)

前作もなかなか面白かったが、今回もよかった。
ジム・トンプスンの小説のようなフィルムノワール。グラフィックノベルをそのまま映像化したような画面作りが特徴的だ。かなり残虐な殺しが行われるのだが、血は白で描写されるので、グロテスクな感じはしない。だからといって、大量の暴力描写があるので、暴力的な映画であるという印象は否めない。もっとも、作り手も、暴力的な映画を意図して作っているだろうが。

思い出すのは、ヴァル・キルマーがバットマンを降板した理由として、昔聞いた話だ。本当かどうかはわからない。バットマンが高いところから飛び降りて、地面に着したときに、地面が大きく砕ける、という演出をCGでやるという話に、キルマーが難色を示したというのだ。CGでなんでもやることを認めてしまったら、生身の俳優の存在というものはなんなのだ、というのがその理由だった。
時代は流れて、本作のように画面全体がおおよそ現実とはかけはなれた映画も作られるようになった。俳優たちも、特にミッキーロークなどはかなり注意しないと、面影すら見つけることができない。
個人的には、監督のイメージを具体化するためにCGを使うことは問題ないと思っている。ただ、CGありきの映画はつまらないものになる確率が高いと思う。やはり根底にあるのは、優れたイマジネーションであるべきなのだ。

本作に優れたイマジネーションがあるか、というと、小生はあると思う。
冒頭にも書いたように、ジム・トンプスンの小説のような世界が広がっている。それは、ハードボイルドというほどの厚みはなくて、チープだ。ステレオタイプなタフガイとファムファタールが、陳腐なセリフを吐いて、死んでいく。フランク・ミラーとロバート・ロドリゲスはそういう世界を愛してやまないのだろう。だから、この映画は独創的な世界を作り出すことに成功しているのだ。

人は物を作るときに、自分自身とかけはなれているものは作れない。なにをやってもその人のカラーになる。だから、自分を磨く必要がある。自分の内面を深めるために、問いを立てつづけ、思考を深め続ける。それを続けた人間だけが、素晴らしいクリエイターになれるのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=RdeYx2uT0KQ&t=1s

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