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横浜狂言堂220911

文相撲

とある大名が部下を召し抱えることにする。
大名と太郎冠者とのやりとりがとぼけていて面白い。
大名は部下をたくさん集めたいようなのだが、太郎冠者がやんわりと「たくさんの部下を集めても、養う余裕がない」とたしなめる。結局部下はひとりでいいという話に落ち着く。いい相談役がいると経営が破綻しなくてよい。

太郎冠者が見つけてきた男は相撲が得意なことがわかり、大名自ら相手をすることになる。
そして、大名は負ける。
大名は相撲に負けてくやしがり、何度も相撲をとる。それでも勝つことができず、腹いせに太郎冠者を投げ飛ばす。
大名が負ける、というのがミソなのかもしれない。
当時の人々は、無知な大名が相撲に負けるのを見て楽しんだのだろうか。

鏡男
都会で訴訟問題を片づけてきた男が妻の元に帰ってくる。お土産に鏡を買ってきた。
当時はまだ鏡というものが珍しく、男も鏡に映る自分を眺めては楽しんでいる。

やがて妻のもとに帰り、鏡をプレゼントする。
鏡に映る自分を他の女だと勘違いした妻は、夫が女を連れてきた、と激怒する。
夫が説明しても妻は理解せずに、夫を追いかけていく。

妻が勘違いして怒るのを楽しむ演目だと思うが、実は妻は鏡に映っているのは自分だと知っているのではないだろうかと思う。夫は鏡に映るのが自分だとわかったのに、妻がいつまでたっても理解しないということはないだろう。
妻が夫を責めるのは、夫が都に行っている間に女遊びをしていたのだと疑っているのかもしれない。

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