パーフェクト・ワールド

 こじんまりとした、ハートウォームな映画を見たい方にはお勧めです。
 1993年アメリカ映画。脱獄囚と人質の少年のロードムービーです。主演はこの頃大人気だったケビン・コスナー。スター独特の華やかさがあります。そして、クリント・イーストウッドやローラ・ダーンといった個性派が脇を固める。万全の布陣といっていいでしょう。
 アメリカの片田舎。脱獄囚のケビン・コスナーだけでなく、みんな銃を持っています。ケビン・コスナーは何度もぶっ放しますが、一般市民もすぐに銃を手にします。60年代のアメリカはこういう世の中だったのかもしれません。そんな世界を、脱獄囚と一緒に逃げる少年。彼は本当に純粋です。そして、脱獄囚のケビン・コスナーも、少年に対しては心を開いていきます。母子家庭に育った少年と、父親と離れて暮らしていたケビン。境遇が似ています。そして、ケビン・コスナーは少年の父親になっていく。さらには、後からわかるのですが、クリント・イーストウッドはケビン・コスナーの父親役なんですね(血縁関係ではなく、関係性として)。
 脱獄囚が、人質の少年に優しくするという設定は面白くもなんともないのですが、暴力的な世界と対比することで、優しい脱獄囚という暖かさが際立ってくる。
 最後に、脱獄囚が少年を返すための条件をいくつかつけるのですが、そこは、ギャグでやっているのかと思いました。
 それはともかく、手堅くまとめたいい映画です。と思ったら、クリント・イースウッド監督作品なんですね。

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