カサブランカ
ハリウッド映画とはこういうものだというお手本のような作品。
ボギーとイングリット・バーグマンは、画面に映るだけでうっとりしてしまう。
パリで恋愛関係にあったボギーとバーグマンが、モロッコのカサブランカで再会する。ボギーは飲食店を経営しており、バーグマンはドイツ抵抗運動の指導者であるラズロと結婚している。
ラズロはナチスに目をつけられており、カサブランカを脱出したがっている。ボギーは通行証を持っており、ラズロはそれを欲しがっている。
本作では、ラズロが抵抗運動の指導者であるという設定だが、深くは掘り下げられない。あくまでもボギーとバーグマンの恋愛が物語の中心になっている。ただし、カサブランカ脱出というサスペンスの要素もある。恋愛とサスペンスを、大スターが演じるという、非常に充実した内容だ。
ボギーとバーグマンは演技力はさほど高くないと思うが、彼らが画面に出てくるだけで、場が華やぐ。とくにバーグマンなどは完璧だ。ウォーホルがシルクスクリーンで大量生産したのも納得だ。彼女は、マリリン同様、大衆文化そのものなのだろう。
本作はよくできたエンターテイメントだ。美男美女の悲恋と、サスペンス。ステレオタイプというとネガティブな響きになるが、ここまで徹底すると、名作になる。ボギーがバーグマンに「きみの瞳に乾杯」とグラスを持ち上げるシーンは有名だ。それがギャグにならないというのが、彼らがスターである、なによりの証拠といったところか。
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