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傑作のひとつと感じた。

小津映画は笠智衆と原節子のコンビがすばらしい効果をあげている。
本作ではふたりが親子を演じている。
笠智衆は変化を受け入れており、原節子は父親との生活がずっと続くことを願っている。しかし、笠智衆は娘の未来を望み、自分が足かせになることを望まない。

すべてのカットに意味があるのだと、小津映画は気づかせてくれる。
淡々とした日常の中に豊かな感情表現がある。
原節子の恨み節も素晴らしかった。

すべては今のままではいられない。そのために人は受け入れなければならない。
これは戦後日本の実感なのだろうか。

幸せとは自分で作り上げていくものだ。笠智衆の言葉は、たしかにひとつのメッセージかもしれないが、映画そのもののメッセージではないと感じた。
父親と娘というひとつの依存関係を断ち切ることによって、前進していく。

最後に笠智衆が器用に果物を剥くシーンで、彼が日常生活をこなす能力があることを示している。
また、彼の周囲には、彼をささえる人々がいて、かならずしも孤独ではないのだ。そういう意味で希望を残した終わりであると言える。

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