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40代から始めたデジタル漫画#デジタルで変わったこと

鳥取県の地方の中の地方の田舎である智頭町で生まれて40数年。

一度は山口県に出ていったけど、ちょっと前まで塾講師をしていた私は全くイラストが描けなかった。

5教科全般を塾講師時代は指導していたけど得意な科目は数学だった。だから○と△と□は授業中に描いてはいたが、抽象的なイラストは全く描けない人間だった。

そんな私の表現手段は文章を書くこと。

ブログを書いたり、小説を書いたり、学生時代は新聞を書いたりと、文章を書くことでしか自分を表現する手段がなかったのは、文章を書くことが安上がりで田舎にいてもできるからだ。

そして私が40代になるまでイラストを描けなかったのは、漫画を買ってもらえる家ではなかったことと、智頭町にきちんとした図書館がなく図書館でも漫画が読めなかったことと、テレビ東京のようなアニメコンテンツを流してくれる民放テレビがなかったことで、アニメや漫画のようなイラストを見る機会が少ないがゆえにイラストを描こうとも思えなかったことに起因する。

しかし、2020年3月、学校がコロナによって緊急休校となったことで、私の人生は180度転換した。
YouTubeや各社配信アプリが無料でアニメを公開してきたとき、私は暇だったので昔見ていた、そして見たかったアニメを見る機会に触れた。

そのときに、授業をするために仕事で使っていたiPadに無料のアイビスペイントXをインストールし、無料でデジタルイラストを描いてみることにした。

40代から初めてイラストを描くことを経験した。

おそらくアナログだったら一生イラストを描くことはできなかったであろう。

なぜならアナログでイラストを描こうとしたらデジタルよりもお金がかかるからだ。

画用紙やケント紙、色鉛筆、アルコールマーカー、コピック、ミリペン、筆ペン、水彩インク、水筆、パレット、スクリーントーン、修正ペンなど。

イラストを描くときに必要なものは画材屋さんにたくさんあるけど、智頭町にはほぼないし、鳥取市に出たところで、最近は画材を扱うお店が潰れていっている。

イラストを描く環境が物理的にない田舎では、これらのツールを手に入れることも難しい。

しかしデジタルアプリを使えば、無料分では画用紙の質は選べない不便はあるものの、色鉛筆もアルコールマーカーも水彩絵具もエアブラシも使える。Gペンも丸ペンも万年筆だって使える。スクリーントーンだって使えるし、背景素材もいっぱいある。ましてや漫画を描くための枠線も簡単にひける。ものさしだって必要ない。

そんな環境を無料で手に入れた私はアイビスペイントXで漫画を描いてみることにした。

令和になっても太郎と花子 1話 分速

↑無料のアイビスペイントでは画用紙の種類が選べないので、鉛筆の落書き感を出すために「がさがさえんぴつ」で落書きのように漫画を描いてみた。

現在、桃々れもん名義のインスタで「令和になっても太郎と花子」8話まで公開しているが、このときは素早く漫画を描くことを目標としていたので、手書きでささっと描いてはSNSにアップしていた。
↓桃々れもんインスタ

https://www.instagram.com/momolemon_illust/

(ちなみに「令和になっても太郎と花子」というタイトルは令和の今になっても高校入試や大学入試の数学の問題に太郎と花子の会話形式で出題されていることから、生徒さんたちに太郎と花子の会話をイメージしてもらいたくて作っている漫画のタイトルだ)

さてこの程度の漫画なら、なぜデジタルで描く必要があるのかと思われると思うのだが、イラストを描いたことがない人間からするとこの程度の線画もアナログでは描くのが難しいのだ。でもデジタルなら描いては修正、描いては修正が消しゴムを使うこともなく簡単にできる。消しゴムのカスが出ないというのは私がデジタルイラストアプリを触ってみて一番感動したことだ。

アナログだと描いても描いても正解がわからない目の位置のずれをデジタルだと操作をするだけで簡単に目の位置をずらすことができる。

しかもアナログだと線画を描く手が震えて、うまく線が描けなくても、デジタルだと手振れ補正なんてありがたいものだあってまっすぐに線が引けるのだ。

正直、アナログでイラストを描いたことがないので(小学校や中学校のときの美術で描くくらい)、デジタルにしたから時短になったとかそういう区別はできない。

でもアナログでは描く意欲もわかなかったイラストをデジタルだと描いてみてもいいかなと思えるこの気楽さは、5教科の勉強における「5分間だけ勉強してみるか」と同等の気楽さだった。美術なんて不器用な自分には必要のない教科だと学生時代に思っていたことがこの年齢になって初めてイラストを描くことが楽しいと思えたのである。

そして今は最初に描いた漫画に色を塗ってみた。

令和になっても太郎と花子 第1話 分速①


令和になっても太郎と花子 第1話 分速②

色を塗ることと吹き出しやセリフを手書きからアプリに入っている素材で作ってみた。

アナログだと吹き出しやセリフを作る作業は本来は編集さんと呼ばれる方の仕事だと思うのだが、デジタルツールを使うことでそれも自分で作ることができるこの感動。

そして自由に好きな色で漫画が作れるこの感動。

さらにそれを自分で各SNSにアップして全世界発信できる今の時代。

なんて素晴らしい世界なんだろうと思う。

田舎の山奥で生きているだけで、画材が買えない環境の中で、漫画が描ける時代になるなんて、子どものときには想像ができなかったこと。

イラストも生成AIが出てきて自分で描かなくてもプロなみのイラストや漫画が出力できる時代なので、この年になってからわざわざAIを使わずにイラストや漫画を描くことは非効率かもしれないが、子どもの頃は描けなかったものを年をとってから描けるようになる経験をしてみたら、下手だけど自分で好きなものを描くのはとっても楽しいことである。

勉強は人生における暇つぶしだけど、イラストや漫画を描くことも人生における暇つぶしだなって思う。

でもその暇つぶしの中で、視野が広がることや自分の能力や知識が広がることにデジタルツールが役に立っている。

デジタルで変わったことというお題があったので文章に綴ってみたが、4年前とは全然違う1日を過ごしている。

40代からでも好きなものを好きなように描ける経験は本当に楽しいことなので、これからもデジタルツールを使いながらいろんなことができればいいなと思う。



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