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現代アート勉強会体験記:キュレーターズトーク ~山峰潤也さんをお迎えして~

なんとなく思いに駆られてアカウント作成するだけ作成して、まったくコンテンツを追加していなかった我がnoteですが、ようやく投稿テーマが決まりました。

「現代アート勉強会体験記」。

アート系のバックグラウンドのない駆け出し作家である私が色々なご縁やタイミングで受講させていただいた勉強会を素朴な観点で語る体験記となります。

アウトプットによる自己研鑽・ライフログ・単なる自己満足、が主な動機です。


下手な予防線を張るのに文字数割いてしまった関係で、前置き大変長くなりましたが、記念すべき第1回はこちら。以下敬称略にて失礼します。

キュレーターズトーク ~山峰潤也さんをお迎えして~
2019/10/30 (水)18:30 - 20:30+懇親会
@東京,代官山

講師:山峰潤也
キュレーター/水戸芸術館現代美術センター

主催:一般社団法人アーツプラス / Taguchi Art Collection https://taguchiartcollection.jp/
コーディネーター:堀江映予
http://ptix.at/4putsS


はじめに

自分の興味と作風がデジタル表現と親和性があることもあって、メディアアートや映像表現にかねてからとても興味がありました。
(今回の話題とは直接関係ありませんが、副業として従事しているシステムエンジニアもこういった経緯で選択したものです。)
メディアアートや映像表現をメインに語られる現代アートの勉強会はそう多くはないので、自分にとって非常に貴重な機会でした。

そのため今回出てくる話題は〈自分が元々好きなもの〉か〈初めて知ってとても興味深いもの〉しかありませんでした。過言ではなく。

1.写真の"外側"

衝撃的な報道写真「ハゲワシと少女」。
私はこの写真を学生時代何かの授業で見たことがあり、スライドでこの写真が出てきたとき、その時の衝撃・悲しみの感情を思い出しました。自分の無力感・残酷な好奇心への嫌悪。
ですが、写真にはその画像には表現されない外側の世界があり(言われてみれば見えている部分の方が圧倒的に少ない)、むしろ目に見える部分よりそちらを表現しているという観点が自身の制作に向けた新たなヒントとなりました。


2.視点を変えるということ

過激なカルト宗教団体の"内側"から我々<世間>を見る映像作品。どちらが常軌を逸しているのか区別なんて付かないのだと思います。よく耳にする「正義の反対は別の正義」という表現は言い得て妙だな、と改めて思いました。
これまで意識していた「メタ的な観点で自身とその作品及び世界を捉える」と共に「敢えて自分の視座をずらしてみる試み」にも興味が湧きました。ここで言及された作品「A」はこれから観てみる予定です。

そして、「宇宙図」を見て分かるように私達が感知できる世界は本当に限られた範囲。涙型をしたごく一部にしか過ぎない。
天動説から地動説へ。そしてアーパネットから始まるインターネットの歴史において自由と平等を実現する情報化社会を夢見ていた創世記と現状との違い。私たちの意識の置き所は忙しく変わっていきますが、そこに敢えて目を向ける作品コンセプトを練りたいと思いました。


3.メディア論と支配・情報技術について

かなり昔の時代から私達大衆は支配の対象として捉えらえれていて、コミュニティーの解体や喧伝・宣伝を通してその試みは概ね成功しつつある様にも思われますが、そこに切り込んで行けるのがアートだと思っています。
どこからも縛られない新たな視点を示す・もしくは揺らぎを与えることができるか、とてもやりがいのあるチャレンジだと思います。
また、講義の中で話題に出てきた「Memex」は感覚的な話になりますが、既存の道具や技術をキメラ的に組み合わせている点において「ドラえもんのひみつ道具」に近い印象を受けました。1945年に提示されたその概念がそのまま現代の技術に採用されることはなかったのですが、むしろ現代のAIや脳の外部ストレージとしてのクラウド等と考え方の相性が良いような気がしました。

そして自分の直近の個展におけるテーマが<情報技術という「力」を人間の「倫理・良心」で如何にコントロールするか>だったのですが、それに関して20年以上前に言及されていた本があったとは不勉強で知りませんでした。(※「思想としてのパソコン」著:西垣通)

4.かねてからの疑問

講演会後に二次会(懇親会)の催しがあり、勇気を出して参加してみました。
そこで多少お酒の力も借りつつ、以前から映像作品に関して私がいつも疑問に感じていたことをお聞きすることができました。
「ドキュメンタリー映像とアート作品との違いとは?」

結論としてはそこを白黒付ける意味は殆どないんだなという考えに至りました。
おおよそ全ての存在とその定義はなだらかな広がりと拡散を見せる。まるで"宇宙の拡がり"のように。そこに<しなやかな交点>が
生まれてもそれは自然なこと。私自身カテゴライズされるのを嫌っている割にそれを他人の作品に対して無理に実行しようとするのは傲慢だったと思いました。

今思うとかなり稚拙な質問をしてしまいましたが、そんな素人にも丁寧に説いてくださって、講師の方は優しいです。(涙&感謝)


5.作家メモ

今回話題に出た作家(団体)でこれから情報収集しようと思っているリスト
・ダグ・エイケン
・ゲイリー・ヒル
・森達也
・E.A.T. (Experiments in Art & Technology )
・中谷芙二子
・ヒト・シュタイエル


6.自分への課題図書

今回の講演を通して「これから読む予定」リストに加えた書。読み終わったら読了日を追記していく予定。
・「思想としてのパソコン」西垣通
・「世界像の時代」マルティン・ハイデガー
・「世論」W・リップマン
・「メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会」ノーム・チョムスキー

(下記は映像作品)
・「サタンタンゴ」タル・ベーラ
・「A」森達也

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