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知財実務オンライン(3)「ここで差が付く!意外と知らない調査の基本」 爆速レポート

YouTubeで毎週木曜日18時30分~20時に配信されている、知財実務オンライン。毎週、特許に限らず様々なテーマが取り上げられ、講師もバラエティに富んで面白いです。

今日は「ここで差が付く!意外と知らない調査の基本」(第3回)を視聴したのでレポートします。

https://www.youtube.com/watch?v=mb_9luiL-3k アーカイブから視聴可能

ゲスト:スマートワークス(株) 代表取締役 酒井美里先生(プロフィール) 企業知財部から特許調査の委託を受ける専門会社で、出願前調査、侵害前調査、無効資料調査など様々な調査を実施。
※概要が伝わりやすいよう、以下、セミナーのキャプチャを適宜使用しております。具体的な解説はセミナー本編を参照ください。

1、セミナー内容

 第1部 企業担当者が陥りやすい調査の悩み

① 初心者:検索式がgoogleっぽいんですが・・

 googleっぽい検索とは:キーワードのみをいくつか投げ込んで、検索結果を求めるシンプルな検索方法。例:「眼鏡 視力」で検索。

 結論:「絶対ダメ」ではない。検索の目的次第。

 ☆ googleっぽくても許される検索・・・必ずあることがわかっている場合、何か有用な情報が手に入ればそれで終了な場合。

 ☆ googleっぽいとマズい検索・・・もれなく徹底的に探す必要がある場合(例:無効資料調査、侵害予防調査)

調査の目的・用途を見極め、漏れない調査を行うか意識的に決める。

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② 中級者:「検索項目、どうしよう?」問題

  全文検索では、漏れはないがノイズが多い
 要約・請求項のみの検索では、ノイズ少ないが漏れが心配・・。
 ⇒バランス大事。「漏れ」を回避するか、「ノイズ」を減らすかは究極的には両立しない。目的で使い分けるしかない。

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Q1:そうはいっても大量にHITしたときはどうするの?見切れないよ!
A1:「単純に全文検索」以外の方法論を持ちましょう。
  Fタームを利用する、広めの分類(=発明のカテゴリー)×全文検索、要約・請求項と全文検索を併用する、近接検索を利用するなど・・・。

Q2:中級者から効率的に調査をレベルアップするためには?
A2:「万が一漏れたらどうしよう・・・」と考えて、全部を潰す検索をし続けるだけではスキルは上達しません。
調査設計の段階で、まず「どの程度、漏れ/ノイズを許容するか」を決めましょう。

その上で、適合率重視か、再現率重視かをあらかじめ決め、意図的に調査手法を変えることをお勧めします。

適合率重視、再現率重視、両方の調査をこなしていくことで、最終的に左上の「適合率・再現率」ともに高いサーチが行えるようになります。

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③ 「雑」な検索から、抜け出そう!

「雑」な検索と、「最適化」された検索では、分類・キーワードは同じでも、見るべき件数は約6分の1となる。再現率はあまり変わらないので、検索の最適化は超重要。

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 ただ、「最適な組み合わせ」が1つだけでは当然漏れが出てくるので、上記のような「補完し合える」組み合わせを何パターンか用意し、漏れがでないように設計する必要がある。

⇒この技術が身につけば、適合率と再現率を両方上げることができる。

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視聴者コメント(YAMADAさん):「種類が違う網で何回かすくった方が、漏れが少なくなるということかな」 ←酒井先生:そういうことです

④ 「適合率・再現率」高ゾーンにたどり着くための最短の道

☆「よくばりセット」戦術

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1、適合率が高くノイズが少ない部分集合を複数作り、セット化する。

2、部分集合を合算することで、再現率を上げる。

⇒「公報読み込み」の時間以前に、「検索式の設計・最適化」に時間をかけよう!

第2部 公報をどうしたら大量に読める!?

 大量:とりあえず1000件読み込みと想定。楽に読むための方法論は以下の通り。

① 工程管理の考えを応用する

 やりがちなのは、公報チェックで「1件目いらない、2件目いらない、3件目関係あるかも・・・」と見て、3件目をそのまま読み込む方法。これは工程管理の考え方から非効率。

差異が大きい工程を一緒にしてしまうと、作業効率が下がり、ミスも発生しやすい。そのため、①スクリーニングで読むべき公報を選択(ノイズ除去)、②公報の請求項・実施例・図面の読み込み(詳細確認)は別工程にすると良い。

② 読みやすい順を探る

 画面上で広報読み(ノイズ除去)をするためには、「ソート機能」を積極的に使うと良い。特に出願人順など。作業効果が格段に上がる!

③ 標準作業時間を知る

 自分がスクリーニング100件に何分ぐらい時間がかかるか、時間を図って「標準時間」とし、それと照らし合わせて実作業を管理するのが良い。

④ 請求項/実施例は「慣れ」

 公報自体に慣れていない場合は、何となく数を読むより、1件をしっかり理解する練習がおススメ。その際、図面があれば「公報と対照させて、図面に色塗りしながら読み込む」方法もおススメ。

⇒読み込みの成果として、技術分野ごとの特徴をつかめれば、読解力とスピードが上がる。

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2、まとめ

① 調査の目的を最初に明らかにし、「漏れ・ノイズ」の許容度を決めた上で、計算式をどのレベルで組むか決める(方針)。

② 調査では公報読みをがむしゃらに行うのではなく、検索式を工夫して「件数対比のノイズを減らす」工程にこそ、時間をかけよう(最適化)。

③ そうはいっても、公報を1000件チェックとかやる必要はある。スピードと持続力が求められるが、「工程管理・時間管理・ソート・慣れ」の力を借りることで、効率的にレベルアップできる(成長)。

自分は特許調査の実務はほぼやっていないのですが、調査の考え方がわかって勉強になりました!実際の調査業務をやっていて、さらなるレベルアップを目指している方の方法論として特に参考になりそうです。

3、おわりに(爆速レポートの動機)

元々、noteは考えをまとめたり、セミナー記録のために使おうと思っていましたが、リモート環境で業務が逆に忙しくなったり、知財メディアへの投稿などに時間が取られ、なかなか更新できていません。

最近は良質なオンラインセミナーが増えており、家にいながらにして有益な学びが得られます。一方で、漫然と話を聞いているだけでは、翌日にはすっかり知見も抜けてしまいもったいないです。

そこで、「知財実務オンラインセミナー」などの配信を視聴しつつリアルタイムで原稿を書き、終了後30分以内でnoteに投稿するという、”爆速レポート”修行をしてみることにしました。

今回やってみて、noteはこうやって「みんなと共有するセミナーノート」として使うこともできるなと再発見しました。学生時代、周りにノートをコピーさせてもらいまくっていたので、少しは罪滅ぼしできるかもしれません笑

また、興味深いセミナーがあればまとめていきます!

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