つめのかたち

私には二人子供がいる。

一人は。溢れる元気、勉強は好きじゃないけど友達と遊ぶのが大好きな小4男児。

一人は。とても真面目で注意されることを怖がり、でも友達からはとても愛される小2女児。


今日は娘のお話。

娘の爪は、率直に言えば形が悪い。

私の母にそっくりなので、私としては微笑ましいのだけれど。

縦に伸びず、横に長い。

娘自身もとても気にしている。


私がネイルをしていると「おかあさんはつめがきれいなかたち。いいなぁ。」と言われる。

答えが見つからないので、そういうときは「娘ちゃんにも好きな色のネイルを塗ってあげようか」という。(ちなみに、私は深爪を伸ばして騙しネイルをしているから、きれいな形ではない)

決まって、キッズの赤いマニキュアを持ってきて塗って欲しがる。

塗り終えたあとのにこにこ顔がとても可愛い。


私としては気にしてほしくないけど、本人は気にしてる。

それ以外にも、いいところがたくさんあって、言葉に出して褒めるのだけど。

私が気にするかしないかではなくて。

彼女には、それがどうしても気になる。


「わたしは、どうしてみんなとつめのかたちがちがうのかなぁ」


そう言うたびに、うまく伝えられない自分の喉元がチクッとする。


それは小学一年生の秋まで続いた。


ある日。学校からの帰り道、ミニバスケットボールのチームメイトの年上の女の子が娘の爪の形に気づいた。

「〇〇ちゃんのつめ、横に長いね!」

時に子供は残酷なもので、思ったことをそのまま口に出してしまう。

聞いた私は「あっ、それは言わないでほしかったな…」ととっさに思った。

次の瞬間「そういう爪の子は、指先が器用なんだって!ママが言ってた。いいなぁ!〇〇ちゃんのママ、きれいなもの(アクセサリーのこと)作れるもんね!似てるんだね!〇〇ちゃんも、作るのうまいし覚えるのとかも早いもんね!」と続いた。


あのときの娘の顔。

びっくりして、まんまるの目。


あぁ、仲間ってすごいな。


娘が悩み、私も悩んだ数年。

悩みだったことが、嬉しいことになったあの瞬間。

父や母といった自分を常に守ってくれる存在以外から「それはそのままがいい」とふと告げられた瞬間。


きっと親子で心身が軽くなったと思う。

その後、彼女が爪の話をすることもほぼなくなり、たまに私がするネイルを見ると「おかあさんつめかわいい。わたしにもして。わたし、『きようなつめ』っていわれたからおとなになったらじぶんでぬれるかなー?」と笑顔で言ってくれる。



爪の形はこの先も悩むこともあるだろう。

それでも、この言葉、支えになっていくといいなぁ。

お姉さんなお友達とそのままに、感謝。



時に子供は、残酷で

時に子供は、ナチュラルに笑顔を作る。


※娘の指は短指症、やまむし指、と呼ばれるもののようです。

同じ指を持っている方々のことを伝えたら笑顔になりました。


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