ビンゴのご褒美で プロレスの試合を見る
「そんなにプロレスが好きなら、プロレスで高校へ推薦入学してもらえ!」
中学3年生の休み時間に、体育館のマット置き場でプロレスをしていた私達にブチ切れた担任の先生が、ゲーリー・オブライトの投げっぱなしジャーマンばりに言い放った一言だ。
他人様にどう見えているかは横に置いておいて、こう見えても中学3年から高校卒業までの4年間、寝食を忘れるほどプロレスが好きだった。
「だった」という過去形にしたのには理由があるが、この理由についてはいつか書ければいいかなと思う。
とにかくプロレスが好きだった当時の私。
学校の友達グループで休み時間に体育館のマット置き場に侵入しては覚えたてのプロレス技を掛け合っていた。
当時の私の必殺技はノーザンライト・スープレックス(馳浩選手のやつ)と、タイガードライバー(三沢光晴選手のやつ)。
翌日、友達に披露するために夜遅くまで自宅の自室で布団を丸めて練習をしていた。
本当はジャーマンスープレックスを習得したかったけど、布団を持ち上げた時、鼻が擦れたのと後ろに放り投げた布団の弾力があまりに強く「ビヨーン」となって上手にブリッジができないので諦めた。
そんな時、プロレス友達から「今、チヨがやっているタイガードライバーは本当のタイガードライバーじゃないよ。本当のタイガードライバーは三沢があまりにも危険だから封印したんだって。」と伝えられた。
「本当のタイガードライバー?」
「あまりにも危険だから三沢本人が封印した技?」
毎週、週刊プロレスを買っていたのに知らない情報だった。
当時はネットもないからその真偽を確かめるすべもなかったけど、「本当のタイガードライバー」という響きに私の心はすべて持って行かれた。
結局それは「タイガードライバー’91」という名前でどんな形で相手を落とすのか等はファイヤープロレスというゲームで知ることになるんだけど、この試合のエプロンからの投げっぱなしタイガードライバーの方が個人的にはそれを上回るほどに衝撃的。
あと小橋選手のコーナーへの投げっぱなしパワーボムも衝撃的。
「うぁー」って思わず声が出る名勝負。
ちなみに、冒頭で私たちが担任の先生からブチ切れられて言われた一言。
「そんなにプロレスが好きなら、プロレスで高校へ推薦入学してもらえ!」
に、僕らは
「ハイ!是非とも!」
と目を輝かせて即答した。
「すみませんでした。もうしません。」の一言が聞きたかっただろう先生にとっては、別の意味で衝撃的だっただろう。
(2020年8月1日 No.67でビンゴをしたご褒美)
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