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一時間文芸①「タイトル未定」

昨年から「一時間文芸」というイベントに時折参加している。

総合創作団体「Kimamasu」さんが月に1、2度開催しているイベントで、その名の通り、決まったテーマに従い、一時間で文芸作品を書き上げる。
この時のテーマは「くだもの」だった。テーマが決まるとあとは、そこから連想されるワードを皆(多くても5人)で、出していく。作品にテーマ以外のワードをなるべく多く使う…という決まりがあるわけじゃないが、そこは私のこだわり。
内容は詩でもエッセイでも脚本でも戯曲でも何でもいいのだが、私は小説に絞って書いている。

以上の事をふまえ、
作品が溜まってきたので、恥ずかしいが思い切って公開する。所詮アマチュアの遊びで駄文なので生暖かい目で読んでくださると幸いです。


さて連想ワードは幾つ使ったでしょうw

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日めくりカレンダーの日付が十二月二 十日のままになっていることに気がつ いた 。もう夜も八時過ぎているのに 。 
もはや来訪者もないこの白い部屋で 、 今更めくる必要が … と思いつつ手は無 意識にテレビ台の横にあるくだものカ ゴをまさぐる。普通の果物しか入って いないのにやたら値段が高いあれであ る 。まさか自分が貰うことになるとは 思わなかった 。
手に取ったのはみかんだ 。食べるたび に 、子どもの頃はおやつの域を超えて 食べすぎてお腹いっぱいになり、友達 と 、昨夜は家でみかんを何個食べたか 競い 、掌が黄色くなることが友情の証だったなと思い出す 。
昔子どもだった私ももう人の親だ 。昨 年は家で息子とささやかにクリスマス を祝ったが 、感染対策で子どもの見舞 いは禁止されているので、もうずいぶん会っていない。
子どもの父親はタワマンの屋上から飛 び降りて死んだ。なんでわざわざ住人 でもないのにそこを選んだのかいまだ に謎だ 。
そして私は今病気で入院中だし 、と 、 まあ 、救いようのない不幸ばかりの人 生だが 、人は幸福慣れもするが不幸慣 れもする 。かわいい息子とビデオチャ ットで話すのが今の私の幸せなのだ 。
もう夢の中であろう息子を思いながら 、スマホでニュースをチェックすると
「千年に1度の確率 ! キャリーオーバー過去最高額ついに!」というタイト ルが目に入った 。
それはそれは 、いったいどこの誰が当 たるんでしょうねと 、いつものルーテ ィンで当選番号を見るとそこには、私 が何年も買い続けているのと同じ数字が載っていた。
(2023年12月21日)


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