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【映画感想】現実の延長の先

公開日、午前10時。
何がなんでも1番に観てやる、と早起きをして映画館へ駆け込んだ。

『ラストマイル』

感想スタートです。
ネタバレあり。
これから見る人が大多数の中、私が通ります。

あらすじ

大好きなドラマ「アンナチュラル」「MIU405」と同じ世界を描く、監督が塚原あゆ子、脚本が野木亜紀子というお祭りのような映画。
主題歌は先の2作同様米津玄師。

本当に楽しみで楽しみで。
満を持して公開。
勢い余ってパンフレット購入しました。

ムアアア。
熱を冷まさねば。

感想

まずは最高の一言を。

聞き馴染みのあるあの音。
そして登場、馴染みのあいつら。

隣に座っていた女性も私と同じような気分だったようで、椅子をベシベシしていました。
気持ちはわかる。落ち着け。

やっぱりこの映画はファンへのご褒美だ。

と、初めはそんなことを思った。
が、そんなことはなく、当然ドラマにも通じるメッセージがありました。

こればかりはさすが野木さん。
現代社会の問題点を真正面に描き、綺麗事に逃げない姿勢が伺えました。
この映画は映画だけに閉じてなく、今私たちの生きている社会への問いかけとなり、またラストのシーンが終わりのない現実を叩きつけられるようになっています。

零にするには誰かの犠牲あってこそ。
そんなの嫌に決まっているのにそうせざる得ないような、社会が悪いと決めつけられればいいのに、その社会を作るのには私もいて、それなのに途方もなく大きい社会が憎いはずなのに依存せざる得ない。
利益ばかりを求めてはいけないとはわかっているのに、利益ばかりを見てしまう。

この映画はそれらを極端な形で示しつつ、ありえないと蹴飛ばすことのできないリアリティをもって私たちに覆い被さってくる。

ラスト、岡田くん演じる孔は何を思ったのか。
ロッカーのドアに書かれたものを見て零を夢見たのか。はたまた零の重みを感じたのか。
そして山崎の飛び降りを見た五十嵐はその高さを見て何を感じたのか。
語らぬ美学があるとすれば最大はこのシーンだと思います。

中盤、誰もが疑わしく見える展開にはドキドキしました。
この人犯人じゃなくて良かったの連続ともし山崎が目を覚ましたらと考えた時のやるせなさ。
でも、多分山崎は起きないんだろうなと思わせる作り。

自殺は良くないって言うけど、その自殺が誰かを助けたらその人は英雄と讃えられるのだろうか。
今回の彼や彼女のように。
でもこの社会において彼らは名もない誰かなんだろうな。

その名前が与えられてこなかった彼らにだって名前はあるし、自殺して初めて名前をもらうだなんて酷い話じゃないですか。
ガラクタにだって始めから名前があるんだって思いたいじゃんか。

主題歌の「がらくた」はそんな彼らを讃えるようで、励ますようで、鎮魂のような歌ですね。
もう少し簡単に零を得られればいいのに。
人生を賭けなくてもいい零があればいい。
零が人を救うことになるだろうから。

さいごに

本当に最高の映画だった。

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