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【映画感想】まさしく地獄

某映画館にて『地獄の黙示録』のファイナルカット版が上映されると知り、取り急ぎ足を運びました。
3時間の超大作は家で見るには体力が必要すぎるので映画館で見たいと思っていたところなので、本当に有難い。

3時間映画は『ボーは恐れている』や『オッペンハイマー』以来久々だったので集中力続くかしら、と心配もありつつ、どうしても1度は見たい映画のひとつだったので、頑張りました。褒めて。

例のごとくネタバレ注意です。
てか、見たことない人は多分見ようとだなんて思わないだろうからいない気がする。
だって3時間だよ?ドラマ3話見た方が絶対コスパいいって。

あらすじ

初コッポラ監督!
実は大学の授業で取り上げられていたことがあってすごく気になっていたのです。

かの詩人T.Sエリオットの詩が引用されているようで、それだけを胸に映画を見たと言っても過言ではありません。
そのためエリオット探しが私の使命でした。

そして見つけたエリオット。
引用されていたのは「うつろな人々」でした。チャンチャン。

↑前読んだけど正直内容あまり覚えていない。

感想

これは戦争映画でいいの………?

割とわかりやすい2部構成になっている感じがしました。
前半戦は戦争批判。(特にベトナム戦争に対して)
後半戦は大衆のあり方批判。

何じゃないかなと思います。

前半。
サーフィンするために村を壊そうとしたり、指揮官がいないのに攻撃が続けられたり、帝国主義的思想であったり。
かなり誇張されているとは思いますが、ベトナム戦争のアメリカへの批判が練り込まれています。

また、主人公の大尉がPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っているが、支援がないといったところも見られます。
現在は病気と認知されてますが、当時はどうしようもなかった。

そして、国に帰れなくなった兵士たち。

悲惨で残酷で無秩序な戦争が映し出され、見る人すべてを不快にさせてきます。

後半。
やっとのことで見つけた。
そして任務完了。

その後リーダーが殺された現地の人たちは主人公を責めるでも怒り狂うでもなく、主人公への服従をします。
彼らに意志は?

はじめ主人公が到着した際は敵意のある目を向けていたにも関わらず、最終的には膝を地面につけて彼を見つめた。
その人々の中に仲間の1人の若い男がいる。
これは風刺的であり、人の意見に流れてしまっている人々を表象しているのだと思います。

「うつろな人々」の引用でもわかるように、どこか無感動で受動的な人たちがあそこでは描かれていたのかなと思いました。

エリオット関連で言えば、この映画は「荒地」の影響があるとか。
あとはフレイザーの『金枝篇』が映されていたとか。

この映画不思議と長いとは感じなかったんですよ。
没入感がすごくて。
ここまで映画の中に入ったのは『戦場のメリークリスマス』以来で、面白いかはわからないけど、すごく集中して見れた映画です。
いや、面白いですけど。

印象的なセリフは「手榴弾を投げるのに手当をする」です。
多分こんな感じだったと思います。
手榴弾ではなく銃だったような気もする。

さいごに

中々な問題作でしたね。
よくこれを世に出せたなあ。

全体的に画が暗くて、顔が全然見えなくてたまに誰かわからなくなってしまいました。
あとタイガー。ビビった。

この映画は題名の通り「地獄の黙示録」になっていて、最終的には地獄を壊そうとしている話とも取れるんですよね。

1度でも見る機会があれば見ていただきたいような作品ですので、ぜひ。

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