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【映画感想】悪夢から醒めたい

『わたしの魔境』という映画を見たので感想を。
どうしよう。
ネタバレありですよー。

あらすじ

オウム真理教を中心とした平成最大のテロ事件が題材となった本作品。
ドキュメンタリー風に進んでいき、オウム真理教、カルト宗教について深堀していくという内容。

感想

見終わったあと、「実際の事件ではこうはならなかった」という言葉にすべてが込められていると感じました。
これはオウム真理教を題材としているため流れはわかるんです。
私たちはあの悲惨な事件を記録として見てきましたから、ある意味結末もわかるわけです。
しかし、今作での結末は救いのあるものでした。
まだ犠牲者は少なく、主人公は家族によって悪夢から醒めることができました。

冒頭から続くあのマルチ商法の会社、上司、優しさを装った男。
全員が嫌な奴ぞろいで、唯一マトモな人も主人公同様宗教じみたヨガ教室にのめり込んでいきます。
主人公もこの彼も疲弊した心により居場所を求めます。
これは今にも続くことです。
自分に居場所があると思っている人はどれだけいるのでしょうか。
あそこにいた人たちは、信者たちは悪い人でも頭のおかしいひとでもなく、ただ居場所を求めていた人たちだったのです。
これはインタビューパートでも語られますが、居場所や理想の両親像などを求めて入信してくるものの、彼らは破滅へと向かっていきます。

映画の設定は現在。
1990年代ではなく、2020年代、コロナの時代。
コロナにより居場所を失った人が多い中、そして突然の別れを経験した人が多い中私たちの拠り所は何でしょうか。
宗教は拠り所です。
年寄りの方が死を恐れるが故に宗教にハマることはありますが、信じられるものがないというのは自分自身を立たせられなくなってしまいます。
立つためには宗教が必要。

今、個性が謳われる時代。
自分に自信を持てない人にとって拠り所はなんでしょうか。
杖を持たなければ歩けない人にどんな杖を渡しますか。
現在日本では、宗教に対するイメージは否定的なものが多いですが、「推し」について語る若者たちはある種の宗教的なものを感じざる得ないです。

お金をどこに使う。
何に寄りかかって生きていこうか。
息苦しさを何で誤魔化そう。

自分の生活を見つめ直すきっかけの作品になるのではないでしょうか。

結局拠り所を持たない人は形は変えども、宗教に寄りかかってしまうのですね。

さいごに

アマプラで見れたので是非。

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