砂嵐の少女(怪談)

 中途半端に目覚めてしまった夜中。薄暗い部屋の中でテレビをつけますが、ただただ砂嵐が流れるばかり。すぐ切ればよかったものをぼんやり眺めていると、突然画面の中央に正方形の枠が映し出されました。神社かお寺らしき建物の屋根と木製の階段がうっすらと確認できます。
 そのとき、ふと。
 目だけがない日本人形のような見た目をした女の子が、突如そこにいたのです。女の子は奥からゆっくりと近づいて来ます。そして、画面に近づき顔がドアップになった瞬間、パッツンに切られた前髪の下からスルッと何かが這いずるように現れました。果たしてそれは、2つの目だったのです。本来、目があるべき位置まで目が移動すると、ありえない程に目を見開きました。口角が上がり歯の並びを見せると女の子は呟いたのです。

 ミ、ツ、ケ、タ、。

 …どれくらい時間が経ったのでしょうか。気がつくと、すっかり日は昇っておりました。

 完

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