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みたらし団子の大脱走 上


1分小説
この物語は2章構成になっています!

第一章:団子の謎

東京の下町にある小さな和菓子屋、「みたらし庵」。店主の田中一郎は、毎日心を込めてみたらし団子を作っていた。ある日の午後、一郎が団子を焼いていると、店の扉が静かに開いた。

「田中さん、団子はまだできてますか?」と常連の鈴木さんが尋ねた。

「はい、もう少しで出来上がります」と一郎は笑顔で答えた。

その瞬間、店の奥から奇妙な音が聞こえた。「ポン、ポン、ポン…」

一郎は眉をひそめながら音の方に向かうと、団子が一つずつトレーから跳ねて落ちているのを見つけた。「何だこれ?」

鈴木さんも驚いて見ていた。「団子が逃げてる?」

団子が次々と跳ねて床を転がり始め、一郎と鈴木さんは慌てて追いかけた。しかし、団子は予想以上に速く、まるで生き物のように逃げ回った。店の外に出ると、団子たちは一斉に道路を横切り、路地裏に消えていった。

「これは一体どういうことだ?」一郎は呆然と立ち尽くした。

鈴木さんも困惑した表情で言った。「まるで、団子が自分の意思を持っているみたいですね」

その夜、一郎は団子が逃げた理由を考えながら眠れないでいた。ふと、古いレシピ本に書かれていた「特別なみたらし団子」の一節を思い出した。それは、特定の材料と手順で作ると、団子が動き出すというものだった。

「まさか、本当に?」一郎は半信半疑で呟いた。


つづく


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