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夏の魔物(詩)


腕に蚊
脚に蚊
どこからともなくあらわれて
ぶんぶんせまる 夏の魔物

腕の蚊
脚の蚊
ふえる ふえる 置き土産
痒くてたまらん キスの痕

痒くなるのが嫌だから
ついつい平手で叩いたけれど
魔物の命は呆気なく
手のひらの魔物は黒い糸くず

あんた こんなに小さかったっけか
あんた こんなに弱かったっけか
誰かの血を代わりに流して死ぬんなら
血なんか吸わなきゃいいのにさ

そうは言っても あんたは蚊
わたしは人間 あんたは蚊

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