見出し画像

退行と腐蝕(詩)


私を育てたあの町は
眠るライオンの背骨のようななだらかな山を
担ぐ町
港にねそべる没落前夜の歓楽街

鼠たちの生活が
夜の帳に光を散りばめ
ちかちか ゆらゆら 揺れている

波におどける私と舟は
塵にまみれた惑星で
小さく丸めた塵屑で
ゆくあても無く 朝を待つ

私を追い出すあの町は
眠るライオンの背骨のようななだらかな山を
担ぐ町
港にねそべる没落前夜の歓楽街

鼠たちの生活が
波をおこして 荒ぶらせ
私と舟を遠くする

波におどける私と舟は
お子様ランチの旗のよう
ちびて転がる鉛筆のよう
ゆくあても無く うしおをのんだ

さようならと叫んだところで
誰に届いたというのだろうか

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?