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東京スカイツリー

 東京スカイツリーは日本で1番高い建築物であり、自分の思い出の場所だ。450mの展望回廊から見下ろす景色は言葉では表せないほど美しい。

 ここが思い出の地になったのは今から3年半前、高校3年生の夏のことだ。

 太陽からの強い日差しが地面に照り付け、気温は35℃を超える猛暑日。普通なら家に引きこもって扇風機をまわしてアイスを食べながらのんびり過ごす気候だったが、その日だけは違った。この日が来るのを待ちわびていた。

 当時はまだ付き合っていなかった元カノとの初めてのデート。夏の大会が終わり一段落ついた時に舞い降りてきたビッグイベントだった。
 彼女と初めて話したのはこのデートからちょうど1ヶ月前。高校3年生の自分と高校1年生の彼女。同じ部活だったがそれまで接点がなかった。
 それから1ヶ月で気がついたら相思相愛の関係になっていた。そしてやってきた初デート。その場所が東京スカイツリーだった。

 どこに行くかめちゃくちゃ悩んだ。ただどうしてもスカイツリーに行きたかった。その理由は「1番」最初のデートで、日本で「1番」高いところに登って、世界で「1番」幸せなカップルになりたいと思ったからである。そこに見合う場所が東京スカイツリーだった。別れた今だから思うけど、こういうことしない方が良かったと思う。めちゃくちゃ恥ずかしい。

 「1」という数字にまつわる彼女との思い出は他にもあるので、それに関してはまた別に書こうと思う。

 そんなこんなで初デートは東京スカイツリーに行った。かわいい彼女と幸せな時間を過ごして、とにかく楽しかった。晴れ渡る青空の下スカイツリーに行き、はるか上空から東京の街並みを眺め、下町でアイスを食べながらのんびり歩いたりした。幸せなときはあっという間に過ぎるとよくいうけど、まさにその通りだった。
 
 初デートからちょうど7ヶ月後の高校3年生の春。もう一度東京スカイツリーに行った。今度は友達としてではなくカップルとして。
 7ヶ月ぶりのスカイツリー。前回来た時のことを2人で話しながら展望デッキへと行った。そこは前回と変わりない、美しい東京を見られるこの世で唯一の場所だった。
 そんな素晴らしい場所で、同じ位置、同じ構図で写真を撮った。なんなら撮りたかったから7ヶ月前と同じキャップをかぶって行った。
 その写真は7ヶ月経って友達からカップルになったという自分達の成長を見ることのできる、今でも忘れられないものだ。別れて3年近く経つが当時のことは頭から離れないし、その写真をたまに見ながら「幸せだったなぁ」と1人でつぶやくことだってある。

 そんな思い出の詰まった東京スカイツリーには別れてから一度も行っていない。元カノと行った場所に行くと楽しかった当時を思い出してしまうため、行くことがなかなかできない。ディズニーシーもその影響で行けていない。新たな一歩を踏み出す勇気がない。

 しかし今年の春はスカイツリーに行きたいと思っている。コロナ禍で行くことが叶わないかもしれないが、桜が散るまでには行きたい。満開の桜がいずれ散りゆくように、満開の桜を見ながら自分の過去と別れを告げたいと思う。

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