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【短編小説】カモミール

彼氏が欲しかったはずだった。
でもどうして自分が、好意を向けてくれた彼を拒んでしまったのか、今でもたまに考え、申し訳ない気持ちになる。

自分はいつでも追いかける恋愛が好きで、好きになるのはいつも釣れない塩対応の男性か、ふらっといなくなってしまうような人。
きっと自分が自分のことを蔑ろにしているから、自分を愛してくれる人を受け入れられないのだろう。

人に愛されることはとてもありがたく幸せなことだったのに、自分は彼からの愛を拒んだ。
贅沢だったなと思う。
結局今は別の人と結婚することになったけど、あの時の彼に言えなかったことがある。

好きになってくれてありがとう。
気持ちを受け取らなくてごめんね。
どうか幸せになってね。



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