研修中の店員さんごめんなさい

先日、本を買いに書店に行った。お目当ての本はレジで冊子が貰えるものだが、帯にそのようなキャンペーンが書いてあるわけではない(しおりが貰える某文庫は帯が変わるのに!)。つまりはわざわざレジで伝えなければならない。

さて、私はかなりの人見知りである。さらに言えばスラング的な意味で「コミュ障」というやつである。
しかしながら冊子はほしい。めっちゃほしい。つまりは頑張らなければならない。

そんなわけで本を手に取ってレジへ。金額を告げられたタイミングで「これって冊子ついてますか。」
だがこれは悪手である。漫画本でこれを言うと完全に綴じ込みに聞こえるからである。ごめんね店員さん。店員さんは本の上面(天というらしい)を見て確認を始めた。
そうじゃないんだ。焦りながら「(指さしながら)あのキャンペーンのやつみたいで、なんかレジで貰えるみたいなんです。」
店員さんは1つ冊子を取りこちらに見せる。「こちらですか。」ようやく、手に入れられる。そう思ったのだが。
合っている、しかしながら「それではない」のだ。

なんとその冊子は同期間に2種類が配られているため、自分が求めているほうを貰わなければならない。
店員さんがこちらに見せてくれたその白い淡白な表紙の冊子、それは残念ながら「じゃない方」である…。(ややこしいので改善しといてください出版社さん)

ここで私は変に焦ってしまい、「それじゃないです」と言ってしまった。せめて「そっちじゃない」だったらどんなに楽だったか。この発言がさらにややこしさを増すことになる。マジでごめん店員さん。まだ研修中なのに。
「それじゃない」ならなんなのか。他の店員さん(多分先輩)に助けを求め始めた。先輩店員さんは「特装版かも」と端末で調べ始めた。止めなきゃ。その本だけは多分私の方が詳しいから。

昔の私なら、声を上げるのに躊躇していたかもしれない。でも、今の私なら。

「キャンペーンのやつなんですけど、それではなくて、えっと、その冊子の親戚みたいのがあるはずなんです。」

拙い。あまりにも。

しかしこれが先輩店員さんに伝わった。先程研修中の店員さんが取った冊子の箱。さっき取ったほうの逆サイドから冊子を引き抜き「こちらですか。」
それは、私が探していた冊子そのものであった。あんな派手な表紙を見間違うはずがない。白い淡白な表紙ではなく、黒い派手な表紙。

「あっ、それです!」と答えると、研修中の店員さんが少し安堵したように見えた。

その後その店員さんは「申し訳ございません」と謝りながら会計をしてくれた。お店側としては謝らない選択肢はなかったのだろうけど、こちらも申し訳なくなってくる。研修中の店員さんがしょぼんとしているような気がして、咄嗟に「この冊子探してたんで、貰えてよかったです」と余計なことを言ってしまった。 研修中の店員さんはもう一度謝りながら本と冊子を手渡してくれた。私はそれを受け取り、店を出た。研修中の店員さんが落ち込まないことを祈って。

こう改めて文字に起こすと私の言葉の拙さが目に見えて分かる。読み返すと恥ずかしくなっていっそ記事公開を取りやめたくなるが、noteは思い立ったが吉日。今この書いた勢いで投稿してしまうことにする。

今度、あの本屋でたくさん本を買おう。カウンターでの会話は、お店でしか経験できないのだから。

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