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痛いのイタイの大っ嫌いなアイツに飛んでいけ~!ロゴ様様

「イタイのイタイの宗教洗脳されてイタい人間になった宮崎の実母に飛んでいけ~」
「めちゃひとりに限定して飛ばすやん」
「ピンポイントで飛ばすほうが漠然と飛ばすよりよっぽど飛びそうやんか」
「痛いの飛んで行ったことあるん?」
「一度もない。」

私の内臓は腫れている。
腫れていて痛い痛い。
だから痛いのを飛ばしている。
毎度毎度、具体的に大っ嫌いなヤツを名指しして飛ばしている。
大っ嫌いな実母に「産んでくれてありがとう」の感謝の気持ちを込めてはるばる飛ばしている。
せっせと10年以上飛ばしてきたが、一度も飛んで行かない。
イタイのイタいの、飛んでゆかない。

「また麻薬はじめてるやんかァ」
「やめてよ。麻薬て言い方すんの」
「長いやんか、医療用麻薬」
「クスリ、でいいやん」
「麻薬の副作用の話やで?クスリ、なんてカワイイもんちゃうねん」
「本当に麻薬とかやってそうに聞こえるからやめて、誤解されるやん」
「そうやなァ…じゃぁ…オピオイド?」

私が「はじめた」麻薬とはもちろん違法なおクスリじゃなくて、医師が処方箋を書く、厳しく管理されているおクスリのほうである。
オピオイド鎮痛薬と呼ばれる疼痛コントロールのための痛み止め。
オピオイド系の成分は、麻薬である。

伊丹の私の居住地は住宅街に田んぼが点在するのどかな地区であるが、私が知る限りケシ農家は見当たらないし、犯罪が蔓延る眠らない街とはほど遠く、皆ぐっすりよく眠っている。
21時ちょっと過ぎに知人に電話をしたら、どっぷり寝てました~という声でお出になったので、我が家では仕事終わりに映画を見て来ると言った二男の帰宅もまだな時間であるが「夜分遅くにすいません」と謝った。

そんな眠るマチ伊丹でドラッグなんて闇取引ルートでも知らない限り入手困難なトリップ錠であるが、伊丹から電車で20分少々の大阪へ出向いてちょいと薄暗い路地なんかにスポンて入っていけば何かの間違いで買えそうだ、最初の一錠だけが激安で。

医療用麻薬にも種類があって、同じ種類ばかりを長期服用すると効きが悪くなってくるので途中で変えるタイミングがある。
闘病も10年を過ぎるベテランになると「フェントス・オキノームまでは要らんけど、トラマドールで効き悪いんで1回コデイン挟むのどうスかね?」なんて麻薬系商品の名前がバンバン出るようになる。

「見て。今回の麻薬、押収品ちっく」

「ヤバい粉やん」
錠剤から散剤に変更となり、見た目がヤバい白い粉。

調剤薬局から家までこの量を持っていたら、密売人か運び屋のよう。

「末端価格にして2920円の押収量とみられています」

「意外と安いな」
「違法じゃないから保険きーとんねん。成分は麻薬やけど分類では麻薬じゃないからまだ安い。麻薬に分類されるかどうかは純度じゃないで依存性」
麻薬処方の慢性患者は麻薬のいらん知識も増える。
麻薬に分類されてなくても麻薬の成分はバッチリ麻薬シッカリ麻薬、依存性が低いから麻薬に分類されていないだけ。

「字が書いててまだマシやな。何も書いてない袋に入ってたらいよいよアヤシイもんな」

「安心・安全の日本調剤「タケダ」の文字が私を麻薬常習者じゃなくて患者として存在さしてくれてるわ~ありがたやアリガタヤ…プラてロゴに助けられる日が来るとはねぇ…」
「そう考えたらロゴてすごい意味あるよな~」
「大事よ、ロゴ。これなかったら食後にアヤシイおクスリをキめるヤバいおばちゃんに見えるんやからな」

ロゴて大事、つぅおハナシでした。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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