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さすが保健師さんだ

訳あって、80代の高齢者の家に訪問した。
不在だったため、渡したかった書類を家族に託して帰庁。

翌日、高齢者本人から電話が入り
「もらった書類を書き間違えてしまったどうしよう」と言われた。

特に問題ないから、そのまま使ってください

と返す。
書き直してもらえれば本当に問題無かったし、
新しい書類を届けるためだけに訪問するには、少し遠い家だったから。

それでもその人は納得が行かず、別部署にまで電話をかけているようだと、私の耳に入った

書き損じた書類を提出するのが、嫌なんだろうな と本人の気持ちはわかる。

だけど私だって忙しい。

でもでも、別部署にまで電話が入ってる以上、新しい書類を持っていくしかないか

イライラしながら車を運転する。
運転しながら「やろうと思ってた仕事があったのに」と悪態をつく。


訪問すると、ヘルパーさんが来ていた。
どうやら今日は支援が入る日だったみたい。

書類だけ置いて帰ろうかとしたら、中から「上がってください」とご本人の声が聞こえた。


体が思うように動かない状態のその人が、しんどそうにベットに横たわっている。


新しい書類をお持ちしました

本人は申し訳なさそうに、ありがとうありがとうと言う。


ヘルパーさんは、どうやら買い物に行くようで
私のその人と2人きりになった

私も帰ろうかと思った


だけど、なんとなく、
部屋にこの人を1人残していく罪悪感が芽生えて 


ヘルパーさんが戻ってくるまで居ましょうか?

と言ってしまった

本人は「そうですか」と言って、
今、仕事して何年目?とか
どこの地域を担当してるの?とか
体が動かなくてしんどい とか

いろいろ話してくれた


突然

「さすが保健師さんだ」

と、何度も何度も言われた。


動かない体で、リポDを取りに行き
私に1本渡してくれた



訪問を終え、車に乗り込んだら、
涙が出そうになった


動かない体で、思うようにいかない生活の中で

せめて書類くらいは正しく書きたい

と、思った本人の気持ちを

私は“面倒くさい”と思ってしまった


イライラしながら訪問したのに
「さすが保健師さんだ」と言ってもらい
リポDまでいただいて。

こんな自分は「さすが保健師さんだ」という言葉をもらうに相応しいんだろうか



なんでもっと優しい気持ちで訪問出来なかったんだろう

なんで最近、住民に寄り添えないんだろう

コロナワクチンで忙しいだけじゃない理由が
ある気がしているけども、わからない。


結果、適切でない支援が続いている。


今回以外にも
「子ども嫌いなら産まなきゃよかったのに」と思ったり
「なぜ他人の家庭の問題を、私が聞かなければいけないんだろう」と感じたり
「早く相談を切り上げたい」と話をコンパクトにまとめたり。


良くない保健師になっている


保健師スランプです_(:3」z)_