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ピザを作る

1日で何十枚ものピザ生地をこねたことがある。あの時はもうピザ作りはこりごりだと思っていたが、あれから3年がたって、やっとまた捏ねたくなった。1時間に一本汽車があるかないかの町から、新幹線のとまる街に引っ越してきたことで、美味しそうなピザの誘惑が多くなり、そろそろ負けそうだったので自分で作ることにしたのもある。

ピザを捏ねながら、あの時のことを思い出す。
朝早く集合し、ひたすらピザを捏ねたあの日。
そのピザ生地に子どもたちが好きな具材をのせて、順番にレンガの釜で焼いた。自分の中では意外な組み合わせの具材(柿とハチミツとか)がのったピザを子どもたちが美味しそうに食べていた。あの時、私も子どもができたら、こうやって一緒に生地を伸ばして、子どもが好きな具材を好きなように好きなだけピザにのせて、ピザが焼けるまでワクワクしながら待とうと思ったのを思い出した。


ピザを捏ねながらまた別のあの時のことを思い出す。
2番目に住んだ集落で、その地域を元気にするために廃園となった保育所の庭にピザ窯を作った。おじさんたちと山から木を切ってきて、屋根を作り、レンガを積み上げてピザ窯を作った。はじめて火入れした時は嬉しかった。結局、私はピザ窯お披露目会には行かれず一度もその釜で焼いたピザを食べることなく引っ越してしまった。あの窯は今も使われているのだろうか。

#ピザ #エッセイ