海外のAI事情~中国編Vol.2~

こんばんは。
昨日から開始した海外のAI事情noteでは、中国のAI事情について記載をはじめました。
中国AIの特徴としては、論文数世界TOPでとにかく質より量、そして政府がAI企業を支援して2030年には16兆4000億円規模にするということでした。

世界のAI人材事情

政府が国をあげてAIを急速に発展している中国ですが、AI人材においてはどのようになっているのでしょうか。

2017年12月、Tencent Research Institute が「グローバル人工知能人材白書」を発表しました。以下のような特徴が見られます。

・世界の企業は100万人のAI人材を必要としているが、AI研究や開発に携わっている人は30万人しかいない。
・その30万人のうち、大学にいる研究者が約10万人、産業界でビジネスに携わる人が約20万人
・70万人も不足しているのだが、AI研究を手がけているAI人材育成機関(大学)は世界に367校で、輩出されるAI人材は年2万人ほど。
・AI人材が不足しているのは、AI人材を育成できる「AI人材の先生」が少ないから。AI開発をリードできるほどの人材は1,000人足らず。先生がいないのでAI人材志望者は効率よく学ぶことができない。

白書では、世界中で繰り広げられる人工知能開発競争。その勝敗を決める要素の1つが優秀人材の数であると指摘しています。

その上で、中国も現在優秀人材が不足しており、このままでは人工知能開発競争においてトップを狙うことは難しいと示唆もされています。

AI人材のトップはどこなのか?

ここにおいては、米国がトップとなっています。

上記白書の世界のAI人材育成できる367の大学のうち、米国の大学は168校世界全体の45.7%を占めています。

続くのが、カナダ22校、英国20校、中国20校、インド18校などなっています。大学数では、中国と米国の間には8倍以上の差があります。

人工知能分野のトップ研究者とその論文数で評価した世界大学ランキングにおいても、TOP10のうち9は米国で、TOP20に中国から以下の大学がランクインします。
・北京大学:12位
・清華大学:16位

(東京大学はちなみに14位)

まだAI人材においては、米国には及ばすというところです。

年収においても米国では全産業平均の2.4倍を出して人材を集め、中国やインドでは7~9倍に達するそうです。ちなみに、日本は1.7倍と開きは小さいとのこと。

中国内での人材輩出大学とは?

人工知能人材の輩出が多い大学としては以下です。
ほぼ北京に寄っているののが特徴です。

・北京:清華大学、北京大学、北京航空航天大学、北京郵電大学、
・上海:上海交通大学、復旦大学
・杭州:浙江大学
・武漢:華中科技大学
・西安:西安電子科技大学
・黒竜江省ハルビン市:ハルビン工業大学

中国はどんなAI人材育成を行っていくか

では、中国はどんなWar for AI Talentを行っていくのでしょうか。

政府

海外在住の中国人研究者を呼び戻すための施策や知的財産保護の整備を推奨

企業と大学

産学連携の人材育成プログラムの促進や大学での人工知能学位の創設などを提案

テンセントの人材白書でもっとも強調されているのは、プラットフォームとしての「協会」の役割
協会を通じて、企業、大学、研究機関のネットワークを構築することで、「スタンフォード大学・シリコンバレー」モデルのような産業発展の形を実現できると指摘しています。
※米国シリコンバレーも1951年スタンフォード大学が同地にハイテク産業パークを開設したことで、産学連携によるIT産業の勃興につながったといわれています。

まだAI人材においては米国に及ばない中国も、今後政府・企業・大学が一丸となって育成に力をいれていくことは間違いなく、今後のAI人材増加は期待されると言えます。

本日はグローバルAI事情ということで、中国のAI人材についてでした。

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