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情熱は重ならない

「誰かと一緒にいられなくて寂しいって思うよりも、自分が一人立ちしてなくて、それで自分はこういうことがやれてますって、そういう風に胸が張れなくている方が辛いって。それじゃ誰にも愛してもらえないって。だから辛くてやだって。」

橋本治『無花果少年と桃尻娘』

「僕はただ、彼の情熱が僕とは関係ないっていう、そのことがつらいだけなんだ。“関係ない”っていうんじゃなくて、僕にだって、やっぱり情熱ってあるから─あると思うから、僕のその情熱と、彼の持ってる彼の情熱とがピッタリとは重ならなくても─そんなに無理矢理に全部重ならなくてもいい─ただその、重なれないでいるっていう、そのことを彼に理解してもらえないでいるっていうことが一番、つらいといえばつらいんだ。僕の情熱というか関心が、他人の情熱とはあんまり重ならなくて、そして、そういう情熱みたいなもんが二つあるんだったら、絶対に僕は自分の方の情熱を取るだろうなって、やっぱりそう思うから。」

橋本治『無花果少年と桃尻娘』


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