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深さを求める読書─1月2月に読んだ本

1月に読んだ本
①『歴史なき時代に』與那覇潤
②『仕事は辞めない!働く✕介護両立の教科書』木場猛ほか
③『偽情報戦争』小泉悠ほか
④『文学研究から現代日本の批評を考える』西田谷洋編
⑤『大いなる助走』筒井康隆
⑥『昭和史講義〔戦後文化篇〕(上)』筒井清忠編*橋本治言及あり
⑦『謎解きとコミュニケーション〜語用論から西欧の知を考える〜』山本英一
⑧『日本人はなぜ存在するか』與那覇潤
⑨『源氏供養(上)新版』橋本治
論文「橋本治『草薙の剣』論(後)」千木良悠子(「文學界」2024年2月号)
2月に読んだ本
①『ポストモダニズムとホロコーストの否定』ロバート・イーグルストン
②『自殺の思想史』ジェニファー・マイケル・ヘクト
③『彼女の「正しい」名前とは何か 新装版─第三フェミニズムの思想─』岡真理
④『くもをさがす』西加奈子
⑤『人と数学のあいだ』加藤文元
⑥『出世と恋愛 近代文学で読む男と女』斎藤美奈子*橋本治言及あり
⑦『ぜんぶ本の話』池澤夏樹・池澤春菜
⑧『私たちはいつから「孤独」になったのか』アルバーティ・フェイ・バウンド
⑨『バッシング論』先崎彰容
⑩『100分de名著 吉本隆明「共同幻想論」』先崎彰容
⑪『源氏供養(下)新版』橋本治
⑫『新装版 動物のお医者さん 1』佐々木倫子

狙ったわけではなくたまたまだが、一カ月にちょうど10冊前後読めた。上に挙げたものは読了本で、読みかけで返却した本や並行して読みながら積んである本も大量にある。
今年はとにかくたくさん読むことを目標にしている。「軽く読める本をたくさん」ではなく、できるだけジャンルを幅広く、そしてできるだけ重く深いものを。重く深く、とは学術書や研究書を多めにしたいという意味。今の自分が理解できるくらいの思考の浅いものばかり読んでいても、楽しい読書はできる。でも今年は、深く潜るような、突き詰めて考える思考の過程を辿ることができる本をたくさん読んで、考える訓練をしたいと思っている。
「量から質」のサイクルを何度か繰り返すことで本が読めるようになっていく。私はそうだった。何を読んだらいいかわからない時期に手当たり次第に読んで(量)、自分にとって読むべき本を自分で選べるようになったら次は、一冊の本からどれだけ多く受け取ることができるか(質)に比重をシフト。ある程度丁寧に読めるようになったら、その質を保ちながら読む対象の難易度を上げていく。そのサイクルを繰り返すことで、読める本のジャンルや難易度が幅広くなる─ちょうど螺旋階段を上がるように。私は何度目かの“量”の時期にいる。でもこれもすべて、橋本治をより深く読むために、いつか橋本治を書くために。
橋本治も、小説以外の仕事は全て小説を書くためにしていたというようなことを書いていた(『TALK橋本治対談集』)。私がやっていることを橋本治と比べることはできないけど、すべてが遠回りや無駄ともいえない。卑近な例では『出世と恋愛』で橋本治『黄金夜界』に言及されていたのは棚ぼただった。

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