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たまにでいいから思い出してね

こうゆうお仕事をしていると誰かに思い出してもらえることがとってもうれしい。かつて出会った誰かや、まだ話せてないけど知ってくださってるどなたかが、なにかする時にあいつはどうだろうかと私のことを思い出して必要としてくれるようなことがあると、うれしくて泣きそうになる。

そんな事がたまたま続き、実現するしないは置いといて、誰かのだいじな時に思い出してもらえた事に感動する。なんと幸せなことだろうとしみじみ思ったのでした。がんばりたくなっちゃうよね。

「これ読んだ時に、ちーこさん演出で舞台化したの観てみたいと思ったから読んでみて」と、作品を勧めていただくありえない出来事もあった。もちろん叶わないよ。そう言ってくださっただけ。でもこの出来事がうれしかった。もし私が作ったら?が誰かの頭に浮かぶなんて一年前はありえない。だって作ってないから。でもひとつふたつ作ったから、一年後のいま起こってる。一年前の自分に言っても信じないと思う。やってよかったな以外のなにものでもないっす。

ゼロから作るのも、人が作ったものを一緒に作るのも、ずっとやっていたい。もっともっともっとやりたい。飽きることもサボる気が起きることもないから、生きることの延長線なんだと思う。

どんな時もどんな場所でも、自分のできることを、やりたいことを、一生懸命する。それだけなんだよなって改めて思ってる。迷いはないのに悩みは次々と生まれるけど。でもいいねん、愛してるから。

私は芸術家じゃないから、一人でこれ以上ないと思えるものを作って死ねたら満足なんてことは思わない。作ったものは人に見てほしいし、いいと思ったら褒めてほしい。誰かに必要とされたいし、お金もほしい。でもそれは結果であって、目的ではない。すべては盲目的な愛と情熱の結果なのよきっと。

生きてゆくために大切な事は大体、誰かが既に作った物の中にあって、私たちはそこから教わった事を自分のものにする。その作品を作った人も、誰かの作品から何かもらって作ったに違いなくて、遡っていったら途方もなくて、下鴨神社の古本市のよう。

なにかをしている限り、ずっとつながっているし、ずっとつながっていられるんだなと思った。

ずっとつながっていようね。忘れていいからたまに思い出して。誰かに思い出してもらえる限り、生きていられますから。

稽古場から稽古場へ移動して、朝から晩までお芝居に向き合う日々。稽古場がだいすきですのでとても幸せです。素晴らしい日々です。移動が多いからチャリ買おうか悩むけど、これから冬なんだよな。

一つは公開前なのだけど、一つは舞台『遥かな町へ』の稽古。6月に一週間ほどのWSオーディションがあって出演が決まった作品。4ヶ月ぶりに会ったけどあんまり変わってなかったみなさんと、英語と日本語とフランス語が飛び交う稽古場で元気に作品作りをしています。本番は11月。よかったら観に来て下さいな。

演出のドリアンさんは演劇がだいすきで、子供のようにお目目がキラッキラ。私たちも演劇がだいすきだから、フランス語はさっぱり分からないけど言葉なんか要らないんだ。

とはいえどうしても言葉が必要な瞬間はありまくりで(どないやねん)、通訳の優さんありがとうという気持ち。セリフはもちろん大切だけど、日本語が通じないドリアンさんはセリフの言い方で誤魔化せない。もっと根本的な部分でしか伝わらないし、不思議なことに国や言葉が違うことがなんの問題にもならないほど美しい瞬間もある。人間が人間と作劇をしている。私たちは役者や演出家である前に人間なんだってさ。

固っ苦しくないし、演劇の楽しさがギュンと詰まった作品になると思う。よければギュンしに来てくださいな。チケットのご予約はこちら

どうしたってただの人間であることと同じくらい誰にでも「公」と「私」の自分がいる。うまく切り換える人もいれば、いつも一緒の人もいる。私は後者で、時と場合によってどっちかが強く弱くなるだけで、私の仕事とプライベートは別れずにずっと同じところにあって、常にどちらでもある。

できる事ならそばにいる人には、公の私も、私の私も、どちらも必要としてほしい。必要とは思わないならせめて、どちらの私もすきでいて欲しい。

あまり人を羨まないようにしてるけど、公私ともに必要とされている人が羨ましい。あなた自身もあなたの仕事もどちらもだいすき、どちらも必要、って言われたらどんな気持ちになるの。羨ましいな。こうやって人を羨んでしまうことがとても悲しい。

また近くに歩いて行ける銭湯と美味しいパン屋があればいいなあ。冬はM-1見てへらへら笑いたい。欲しいのはまき戻しであってやり直しじゃない。同じことをしたとしてももう手に入らない。それは別もので、かつての真似事だ。そんなの痛々しい。もっと悲しくなる。一回すきになったものをどうやってきらいになるの。むずいし、できない。ごめんね、全部忘れていいよ。忘れていいけど、たまにでいいから思い出してね。

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