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マハラジャ

とある国の王子マハラジャは隣国アーシャ王妃に恋をしています。しかしアーシャ王妃には既に婚約者がおりました。婚約者に決闘を挑む前夜、彼は泉に己を清めに行きました。そこで刺客に襲われてしまうのです。その刺客は決闘者からのものでは無く、王女からでした。

マハラジャは生き残る事は出来ましたが、アーシャが自分と結ばれることを拒んでいる事がショックで仕方ありませんでした。婚約者よりも自分の方が彼女を幸せに出来るというのに。彼には魔法が使えたのです。空を飛ぶ魔法でした。人前で使う事はありませんでしたが、これは絶対誰にも出来ないはず。

決闘当日、彼は魔法を使い、決闘を挑みました。空を飛ぶ者に誰が勝てるというのでしょう。分かっていました。この決闘に勝っても、彼女の心を手に入れることが出来ない事を。婚約者の息の根を止める寸前、涙を流しながらアーシャが命乞いまでするのですから。

彼は誰も殺めることなく空を飛んでどこかに消えていってしまいました。その姿を見ていた人々は、あれは神の使いだったのでは無いだろうかと噂するようになりました。その後、マハラジャの姿を見たものはいません。マハラジャは神の使いとして世に語り継がれ、人々はマハラジャの幸せを願いました。

ピュアニスタというアプリで作ったアートを表紙として使っています。画像の商用目的はお控えください。

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