ちる

読みっぱなしで終わらないために本のまとめを少しずつ。

ちる

読みっぱなしで終わらないために本のまとめを少しずつ。

マガジン

  • ACTマインドフルネス

  • MBTI

最近の記事

なぜ悪循環が生まれるのか

こんにちは。 ラス・ハリス『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』の3回目となります。今回は第2章を読んでいきます。 今回読んでいく第2章はおもに悪循環の起こる原因についての解説となります。(悪循環への対処方法は第3章で解説されます) 早速読んでいきましょう。 ACTでは、解決しようという努力が問題を作り出しているとしてこれを「悪循環」と呼んでいるようです。本書では、問題(ストレス)に対しておもに下記2つの戦略がとられるとしています。 闘争戦略 抑圧・反論・

    • 幸福の罠を支える四つの神話

      前回に引き続き『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 』ラス・ハリスを読んでいきます。 この章では幸福の罠の元となっている4つの神話を取り上げています。 これまでの認知行動療法でも似たような点はありましたが、ACTではそうした幸福を求める考え方を「幸福の罠」として大きく取り上げる点に特徴があるかと思います。ではその幸福の罠をすこし言葉を変えて箇条書きにしてみます。 1 幸福であることが自然な状態と信じる 2 幸福

      • 『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない』を読む

        今回は『幸福になりたいなら幸福になろうとしてはいけない: マインドフルネスから生まれた心理療法ACT入門 』ラス・ハリスを読んでいきます。 第3世代の認知行動療法として知られるACT、こちらの本はそのACTの入門書として人気の書籍となっています。 入門書なのであまり難しくはありません。ではなぜ今回わざわざ本書を読んでいくのかというと、本書で扱う事柄を様々な考えや思想を踏まえて読んでいくとなかなかおもしろいのではないか、と思い立ったというのが理由となります。またACTへの理

        • 多様性はなぜ重要なのか?

          『MBTIへの招待』の解説の最終回、第13回になります。 今回は第7章を読んでいきます。 「人の多様性の大切さ」人の多様性と聞いて「多様性、つまりは他者の理解や自分と異なる意見の尊重で何の得があるのか?」との問いに、本書はMBTIの立場からこのように答えています。 共存共栄の人生において人が生き延び適応しうるかは、人との違いの管理能力がそのまま左右するといえる。 自分と異なるタイプへの偏見が強い場合、その環境は自分には不快であるかと思います。不快な環境で生き続けるのでは

        なぜ悪循環が生まれるのか

        マガジン

        • ACTマインドフルネス
          3本
        • MBTI
          8本

        記事

          コミュニケーションには偏見が伴う

          『MBTIへの招待』の解説の第12回になります。 今回は第6章を読んでいきます。 「コミュニケーションをするための道筋」第6章はMBTIとタイプ論におけるコミュニケーションの扱いについての解説になります。まずMBTIにおけるコミュニケーションとは?というあたりから見ていきます。コミュニケーションをどう捉えているのかについて本書では、 コミュニケーションは投影によって始まる 投影とは、経験と向き合っている時はいつも起きている という点が中心にあるように読めます。そしてMB

          コミュニケーションには偏見が伴う

          MBTIにおける発達の考え方

          『MBTIへの招待』の解説の第11回になります。 今回は第5章を読んでいきます。 「オズの魔法使いに見るドロシーの銀の靴」第5章は機能の発達についての解説になります。 この章の最初に『オズの魔法使い』のたとえを使って発達についての解説があるのですが、これがとてもわかりにくい。なのでその辺りを抜かしてさらっと読んでいきます。 まずはタイプ論における発達とは何か?というところから始めます。本書によると、タイプ論における発達とは各機能の発達と統合を指します。順番はどうやらこうな

          MBTIにおける発達の考え方

          普段はしない行動に隠された意味とは

          『MBTIへの招待』の解説の第10回になります。 今回は第4章を読んでいきます。 第4章は劣等機能についての解説になります。 「自分のなかにいる教師 私たちが向き合わなければならない課題」4章のタイトルどおり、MBTIでは劣等機能を自分のなかにいる教師と捉えます。劣等というと劣等感のようにネガティブな響きを感じますが、私たちがもつ4つの機能のうち、もっとも等級が低いというわけではなく、劣等(inferior)というよりも劣性(inferior)という意味合いが強いと思いま

          普段はしない行動に隠された意味とは

          根気づよさ(表)と頑固さ(裏)について

          『MBTIへの招待』の解説の第9回になります。 今回は第3章を読んでいきますが、この章は複雑でないのでちょっと短めの解説になります。 第3章は、MBTIと『タイプ論』における心のバランスについてになります。 「心のバランス 豊かな心とは」まず、なぜ心にバランスが必要かという点について、MBTIとタイプ論ではどのように考えているのか確認してみます。 本書によると心のバランスが取れていると、 状況に適応することができる 健全な人間関係を築くことができる 充実した生活を送るこ

          根気づよさ(表)と頑固さ(裏)について

          『ゲーム分析』(チーム医療) 表1「Berne.E.によるゲームの分類」 と各ゲームの解説ページの対応一覧

          『ゲーム分析』(チーム医療) 杉田 峰康、国谷 誠朗、桂 戴作 2ページの表1と解説の対応 [Life Games]1. Alcoholic 33 2. Debtor 3. Kick Me 81, 92, 131 4. Now I’ve Got You, You Son of a Bitch 16, 35, 72, 92, 97 5. See What You Made Me Do [Marital Games]1. Corner

          『ゲーム分析』(チーム医療) 表1「Berne.E.によるゲームの分類」 と各ゲームの解説ページの対応一覧

          「わたし」とは、わたしの性格のことなのか?

          『MBTIへの招待』の解説の第8回です。 今回は第2章を読んでいきます。 第2章は、第1章で仮決定したタイプ(ENTJなど)をもとにして、自分と他者への理解と、自分も含めての関わり方についての解説が続きます。 なんだかややこしそうに感じますが、2章のタイトルはこんな感じになっています。 「自分や他者理解に役立つ複雑かつややこしい考え方」 先が思いやられます。 で、第2章を開くと、最初にMBTIは「心を知る道標として」存在することを主張しています。ではMBTIにおける心

          「わたし」とは、わたしの性格のことなのか?

          枠で判断する人、自由に振る舞える人

          『MBTIへの招待』の解説の7回です。 今回は第1章の締めくくりとなります。指標の最後の4つ目、知覚的態度と判断的態度について読んでいきます。 前回の思考・感情の指標までの3つの指標は、ユング『タイプ論』と同じ内容でしたが、この4つ目の指標は『タイプ論』には存在しない指標でMBTIのみに存在する指標となります。 知覚的態度と判断的態度 この知覚的態度と判断的態度の指標は先の3つの指標に負けず劣らず複雑です。まず態度とはどういったものなのかを本書で見てみると、 外界に対す

          枠で判断する人、自由に振る舞える人

          なぜ感情は合理的といえるのか

          『MBTIへの招待』の解説6回です。 今回は指標の3番目にあたる思考型と感情型について読んでいきます。 感情については一般の理解とMBTIと『タイプ論』での理解に異なる点がありますので、MBTIにおけるこの指標が示すものについて考えつつ読み進めていきましょう。 判断の方法(思考・感情)前回とりあげた感覚・直観は、情報収集についての方向性の違いに関する指標でした。今回の思考・感情の指標は、集めた情報の使い方や価値判断に関する方向の違いになります。 まずは本書にある『タイプ論

          なぜ感情は合理的といえるのか

          直観で情報を集めるとはどういうことか?

          『MBTIへの招待』の解説5回です。 4つの指標の2番目である、ものの見方と情報の集め方について読んでいきます。 ものの見方や情報収集のクセ(感覚・直観)指標の2つ目は、情報を集め方についての指標で、五感で感じる感覚型か、ひらめきや関連性に注目する直観型か、という情報収集する際の心のクセを見ていきます。 そして前回も触れましたとおり、ここでの「ちょっかん」は直観(intuition)であって、いわゆる「カンに頼る」という意味での直感とは異なる点は注意が必要かと思います。

          直観で情報を集めるとはどういうことか?

          心の方向性 外向と内向

          『MBTIへの招待』の解説4回です。 4つの指標の1番目、心の方向性について読んでいきます。 心の方向性とは、どのように外界と関わるのか、という点についての指標です。 外向・内向それぞれの性格の特徴を見ていくのですが、その前に前回も指摘した通り、一般的な理解である外向的は「外交的で活発な行動」で、内向的は「はずかしがりやで引っ込み思案」という認識は誤りであることを理解したうえで読み進めていきましょう。 外向・内向ともに、さまざまな事例が載せられているのですが、本書を読む

          心の方向性 外向と内向

          社交的でも、外向的とはかぎらない

          『MBTIへの招待』の解説3回です。 ひきつづき第1章の性格診断ツールとしてのMBTIの仕組みと、ユング『タイプ論』の核心部分ともいえる箇所を読んでいきます。 <心理学的タイプ論のモデル概要> このパートではMBTIと『タイプ論』の4つの方向性が述べられています。 MBTIにおける4つの指標を見ていきます。 1 心の方向性(外向・内向) まず1つ目の指標は、外向・内向という聞き慣れた指標になります。 注意すべきは心理学では外向的を外交的と明確に区別している点にあります

          社交的でも、外向的とはかぎらない

          性格の問題は、なぜ哲学の問題になるのか?

          MBTIの話は別に進めるとして。そもそものところを少し。 なんのために性格心理学を学ぶのか? 性格への学びは哲学とどう関係しているのか? というあたりの背景もポツポツと。 コトバンクで引ける『最新 心理学事典』で「性格心理学」を検索すると、この点について下記のような説明があります。自分の考えをあらためて書くよりもわかりやすいので引用してみます。 【性格心理学の問題領域】 パービンPervin,L.A.は,性格研究が取り扱っている問題領域として ①人間に共通する普遍性と

          性格の問題は、なぜ哲学の問題になるのか?