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白鳥飛来の古沼4

    城沼は水路のように細長い沼です。
 午前中は太陽を背にしていましたが、後半は太陽が前にあります。

 「午後は逆光だね」
 仕方がないと言い合って先を進みました。

 午後は少し風が出てきて、寒く感じるようでした。
 モカさんは
 「上着を着てきて良かった」
    とのこと。

 遊歩道脇にアシがたくさん生えた場所がありました。

 モカさんが足を止めたので、私も足を止めて
 「何かいた?」
 「いるじゃん」
    モカさんはそう言ってアシの辺りを示しました。

 その方向に、小さい鳥が飛び交う影が見えたのでした。

 モカさんは双眼鏡で確認して
 「メジロがいる、あとシジュウカラ?」
 私の目にも小鳥の白いお腹が飛び込んできました。
 「シジュウカラだね」

 私には前から見てみたい小鳥がいました。
 「キクイタダキ、いそう?」
 「この時期はシジュウカラと混群を作っていることがあるの」
 「そうなん」

 小鳥の動きが速いからか、アシが茂りすぎていたのか、キクイタダキは分かりませんでした。

 遊歩道を少し進むとオオバンがいました。
 オオバンを見てモカさんの声のトーンが上がりました。
 「オオバンが何か食べてる」
 「え、本当?」

 オオバンは何か丸いかたまりを熱心に食べています。

 正確には大きすぎて口に入らないのを、水の中に落としては拾ったり、離してまた拾ったりの繰り返しです。
 色はピンクっぽいです。
 何だろう?

 オオバンは草食のカモですが、甲殻類も捕まえて食べます。
 オオバンが格闘したせいか、角が取れていて獲物がなんだったのか分かりませんでした。
   人工物にしては、ずいぶん熱心に突いていたし。

 なかなか貴重な場面を見ることができました。
 自然観察の醍醐味です。

 あっという間に一周してしまいました。

 モカさんが聞いてきました。
 「どうする?」
 「マシコちゃん、再チャレンジしたい」
 「さっき、撮れなかったし」

 モカさんは頷いてくれました。
 こうして私たちは城沼2週目に入ったのでした。

(5に続く)

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