白鳥飛来の古沼5
再びスタート地点に立ちました。
モカさんは真っ直ぐ枯れ草の生えた所に近づきました。
「メジロだ」
緑色のメジロがたくさんいるのを見て、私は
「メジロって必ず偶数なんですよ」
ちょっと得意げに言ったら、いきなりモカさんに膝カックンをされました。
「はうっ!」
モカさんはたぶん
「偶数?何を言っているん」
「ラブに決まっているでしょ!」
と言いたかったんじゃないかと思います。
ドイツはカップルで行動するのが普通なので、日本に来て、女性が一人で喫茶店にいるのを見たりするとビックリすると本で読んだことがあるのです。
その話が本当かどうか調べたことはないのですが、偶数派のメジロを見ると思い出します。
梅の花を見ながらモカさんは
「なんでメジロはこっちにいないんかね」
と、不思議がっていました。
確かに梅が咲いているなら、梅の木にいた方が自然な気もします。
梅の蜜も楽しむし、枯れ草に付いた小さな虫も貴重なたんぱく質なのかもしれないです。
少し行くとモカさんが白いカモに気が付きました。
「ミコアイサじゃない?」
朝、白鳥の周辺で大きなカメラを持っていた人たちがミコアイサの名前を口にしていたのを思い出しました。
私も双眼鏡で確認して
「そうみたい」
相変わらずミコアイサはパンダみたいな色をしていました。
さて、私が捜しているベニマシコのいた場所はその少し先でした。
私は見覚えのある草を指しながら
「この辺」
しかし、ベニマシコは遠くに飛び立ったきり、あれから戻ってきていないようでした。
モカさんはベニマシコを探してどんどん先に行ってしまいます。
枯れたアシの藪の所で足を止めて撮影を始めました。
そこには初めて見る小鳥が!
後で調べたのですが、おそらくオオジュリンの冬羽の子だと思われます。
マシコちゃんには会えませんでしたが、嬉しい出会いでした。
(6に続く)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?