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カワセミ、エビを取る3

    カワセミはエサをクチバシにはさんで、どこかに飛んで行ってしまいました。
    それを呆然と見送った私。

    モカさんが手招きして
 「メスの所に行った」
 と言うので、私もカワセミが飛んだ方向に双眼鏡を向けます。
 「そこからじゃ見えないよ」

 モカさんが自分の立っていたところを空けてくれて
 「ここからなら見えると思う」

 モカさんの隣に立って木の陰に目をこらします。
 やがてカワセミの姿を捉えました。
 「いたけど、1羽しかいないよ」
 「その隣にいるでしょ」
 モカさんに言われてさらに探すと
 「いた!」
 1羽しかいないと思ったのですが、その隣の影になっている枝にもう1羽、青い背中が見えました。

 カワセミは縄張り意識が強い鳥です。
 それなのにメスのすぐ隣にオスがいるのです。
    間違いなく、オスが先ほど取ったエサをプレゼントし、メスに受け取ってもらえた所でしょう。

 残念ながらプレゼントを渡すところは見られませんでしたが、それでも貴重な瞬間に立ち会ったような気がしました。

左側の青い影がオスの背中で
光が当たってはっきり見えているのがメス。

 後で確認したところ、カワセミのオスがエサをくわえている写真が撮れていました。
 モカさんは
 「カワセミがプレゼントしたのはエビだったんだね」
 こう言って、褒めてくれました。

    カワセミはメスが食べやすいように、プレゼントする前にエサの向きを持ち直します。
    魚なら、うろこが引っかからないように持ち直して、頭から渡すという感じです。

    エビを取った後、エビを持ち直すところが連写で撮れているのですけど、メスが食べやすいように直した向きがエビの背中なのです。
    エビの足が彼女の喉に当たらないようにという配慮なのかもしれません。

    カワセミってとても小さいのに、ジェントルマンだなぁと感心するこの頃です。


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