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後輩に謝りたいこと

直属の後輩が休職した。

このことは、友達にも家族にも彼氏にもずっと打ち明けることが出来なかった。自分自身の心の整理が出来ていなかったこともそうだし、何より知られたら最低の人間だと思われてしまうことを恐れていた。

入社当初から彼はとても優しくて、思いやりがあって、とてもよくいろんなところに気が付く人だった。お客様と関わる仕事をしている上で、完全には想像しきれないお客様の気持ちを汲み取ったり手元にある材料で想像することはとても大事なことだったので、この仕事は彼に向いていると思った。

コロナの影響でリモートワークとなっている中でも、一生懸命頑張り、積極的に質問等もしてくれて、早く一人前になろうとしてくれた。

ただ、私のキャパシティがついていかなかった。人にはいろんなタイプがいて、ある程度放っておいてもそこそこ見て学べる人や全て教えてもらってじっくりと成長していく人がいる。彼は完全に後者のタイプだった。ましてやこのコロナ禍のリモートワーク中で、先輩の仕事を「見る」こともできないのだから、誰だって勝手に仕事を覚えられるわけがない。

その頃の私は、通常業務に純増の形で後輩育成を任されていた。後輩に使う時間が1日2時間を超えてきて、次第に一度教えたことを何回か聞いてきたり、自分で考えたらわかりそうと感じてしまうことに対しても質問をしてくることに対していら立ちを隠せなくなってしまっていた。

人の気持ちが分かりすぎる彼が私の感情を汲み取り、自分を責めるのは時間の問題だった。

その頃から、質問をする際やロープレ等で時間を使うときに「忙しいのにすみません」と言われるようになった。でも、鈍感で余裕のない自分は相手がどんな気持ちでいるのかも想像できなかった。

ある日、私は上司から呼び出された。後輩育成についての話だった。

「〇〇くんから、あなたが怖いって聞いたんだけど、どんな接し方してるの?」

そう聞いた瞬間全てが分かった。自分のとげとげしい態度が彼をとても傷つけていたことや、それにより彼が自分を責めてしまっていたこと。

人それぞれ成長のスピードがあるし、誰も経験したことの無い環境下でとても大変な思いをしていることも頭では分かっていたのにそのことを忘れていた。今後は後輩が自分を責めたりしないように接しなければ。と心を入れ替えたがもう既に遅かった。

その話を聞いた直後に彼は休職することになった。

私はまだ、きちんとそのことを彼に謝れていない。

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