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最後の家族旅行

私の部屋は
風景や花々の写真を印刷したもの、撮影したものが幾つか飾られている。

その中に何故か
長野県上高地の河童橋の写真が飾ってある。


今は高齢になってしまった両親だが


家族全員での外食や旅行する機会がほぼ無くなってしまった頃
結婚などで皆それぞれ離れてしまうだろうという事もあり

最後の家族旅行を計画した事がある。

行く先は長野の上高地。キャビン泊だった。

私は長野が初めてだったが交代で運転し、やはり長く感じた。
そして道中も何となく皆大人になり各々の世界が出来たせいか、楽しい中にも若干の気まずさも感じていた。

しかし
上高地に到着し透明な水に触れ河童橋まで歩き、
標高の高い山々、澄んだ空気は何故か日常を忘れさせてくれ、本当に美しかった。
河童橋付近にある飲食店、お土産やさんも楽しくて。

河童橋の下に座り父と頬張る山賊バーガーはボリューム満点で最高に美味しかった。

夕方はキャビンでカレーを食べ、布団を敷いて話しながら眠った。

しかし幼少期のバンガロー泊した頃とは違い
やはり家族だけでは若干の違和感はあったかもしれない(笑)
幼少期はよく楽しくキャンプをしていた。

帰りに市内で山賊焼を食べ、お土産を買い帰路に着いた。
最後の旅行は本当に心に残る素敵な思い出となった。

その後家族は各々離れた街に長年暮らし
絶対に近くに暮らす事は無いだろうと思っていたのだが、たまたま今皆は近くに暮らしている。
まるで磁石が引き合うように不思議と近付いてしまった。

誰かが病気になってもすぐ駆けつけられたり、新しい家族が出来たり、両親の誕生日、行事、疲れた夜すぐに集合出来るようになり、きっと両親は安心して暮らせているだろう。

私はまぁ、何処でもいいかな。
まだ自分に合う土地がある気がして
心の何処かでそれを探し求めている。
親は親の、私は私の人生と心の何処かで区切りを付けている。

でも
上高地の河童橋を見る度に
遠いあの日を思い出す。


きっと歳を重ねてもこの景色を見る度
あの日の事を思い出すだろう。


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