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キン肉マン・リーダーシップ論 ~マリポーサ編 後編~

<マリポーサ編 前編はこちらから>

キン肉マンを破った中堅ミキサー大帝。ミートくん1人に対し、マリポーサチームはまだ3人が残っています。絶体絶命のキン肉マンチーム。しかし、ここからがキン肉マンチームの真骨頂。キン肉マンを破ったミキサー大帝を、ミートくんが閉門クラッシュからのバックドロップで粉砕したのです。しかし、ミートくんも傷だらけ。もはやまともに戦うことはできません。

マリポーサは続く副将に、キング・ザ・100トンを起用しました。ミートくんにとどめを刺そうとしたまさにその時です。ギリギリのタイミングで駆けつけたテリーマンとロビンマスクがミートくんを救出します。これで、両チーム残りは2人ずつ。一気に五分に戻されます。

マリポーサは、基本原則として正攻法を避けるものの、パワーが必要になる展開も想定していたのでしょう。そのための副将キング・ザ・100トンです。対戦したテリーマンの95㎏をはじめとして、多くの超人が100㎏前後。まさに桁外れの重さ。加えて、マリポーサは、体重差をいかすための巨大シーソーをマットの下に隠し、さらにはキング・ザ・100トンの変身用プラカードでベンチから指示を出しています。さらに、プラカードが奪われた時のために、キャンバスの下にもう一つプラカードを隠しておくという周到さ。ですが、ここまでしたにもかかわらず、この試合は引き分けに終わってしまいます。

最後はマリポーサ対ロビンマスクの大将戦へ。マリポーサは持ち前のバネを武器にロビンマスクを圧倒します。アノアロの杖の因縁もあり、心が折れる寸前のロビンマスク。マリポーサは本当にあと一歩のところまで追い詰めたのです。しかし、最後は伝家の宝刀ロビン・スペシャルによって勝負が決しました。

恐ろしいまでの用意周到さで万全の対策を講じてきたマリポーサチーム。それでも敗れました。

敗因は2つ。

1つは油断です。マリポーサは試合前、うまくいけばミスター・VTRが、そうでなくともミキサー大帝がキン肉マンを破るという筋書きを描いていたはずです。ここまではほぼ想定通りの展開。リーダーであるマリポーサの指示に従い、存分に力を発揮していたメンバーたち。しかし、あまりにうまくことが運ぶために自分たちの力を過信し、勝利を確信してしまったのでしょう。おそらくマリポーサ自身にもそういう気持ちが生まれてしまったのだと思います。今一度、気を引き締めることはできませんでした。しかし、ミートくんを一人残すだけとなったこの状況で勝利を確信したとして、いったい誰がマリポーサを責めることができるでしょうか。

もう1つの敗因は、友情パワーを読み切れなかったことです。最大限に警戒していた火事場のクソ力を封じたマリポーサチームでしたが、キン肉マンたち正義超人にはもう一つ、忘れてはならない力があったのです。それが言わずと知れた友情パワーです。

こうして惜しくも1回戦で敗退となったマリポーサチームですが、マリポーサはひとつのリーダーシップスタイルを体現しました。自身を含めた5人で一つのチームとして戦いに挑んだという意味では、マリポーサが最も組織的に戦ったリーダーと言えるでしょう。特に、メンバーの特長を理解し、それを最大限に活かそうという姿勢は見習うべきところが多くあります。それは冷静な観察力的確な分析力入念な下準備とも相まって、大いに機能することとなりました。価値観が多様化する現代にこそ求められるリーダーシップなのかもしれません。

惜しむらくは、彼の生活環境です。これだけの才がありながらも、盗っ人として生活してきた(せざるを得なかった)ことが、マリポーサが飛翔するチャンスを阻んでしまいました。

幼いころから盗っ人稼業に手を染めていたマリポーサには、仲間がいませんでした。もし、マリポーサがこの戦いまでに友情パワーを体感したことがあれば、もしかするとその対策まで整えることができていたかもしれません。幼少期の環境や体験がそれだけ大切だと思い知らされます。

この戦いを経た今、マリポーサは一回りも二回りも大きくなっていることでしょう。今度はそのリーダーシップを正義のために活かしてくれると思います。

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と、5年前はこういった締め方をしていたのですが、まさか本当にマリポーサが一回りも二回りも大きくなってキン肉マンと共に戦うことになるとは思ってもいませんでした。ヘイルマンに打ち勝った姿は本当にしびれました。敗れてもなお成長し続ける超人たち、「キン肉マン」というマンガの根底を貫く魅力です。

次回はビッグボディ編です。

自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)