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「キスの時に感じる、あいつの煙草の味」(という、妄想)

ざらっとしてそうな、ひげの剃り跡。ちょっとパサついた茶髪。慣れた手つきでマルボロの赤を取り出し、しゅっと火をつける。

くいっと斜めに上げた口元に、マルボロの赤が。けだるそうな彼女と、けだるそうなその男性。

「はぇ~…」保育園に息子を送ったあと、朝の駅前で見かけた光景。ほんの一瞬なのに目に焼き付けている自分が、ちょっとキモイと思わんでもない。でも、こういう男性好きなんだ。そう…。

遠くから眺める分には(ドーン)。

実際のパートナーだとめっちゃ困る。まず煙草が無理。けだるそうな雰囲気もちょっと嫌。毎日暮らすにはハードルが高い。こうして遠目から眺めて妄想膨らますくらいがちょうどいい。

そういう密かな萌え、みたいなのありません?

「キスの時に感じる、あいつの煙草の味が…」
「ニコチンの香りにくらくらする」
「苦いキスの味」

みたいな描写、良いですよね。こういうやらしい描写好きです。

実際にはパートナーの煙草の味なんて一切感じたくないし、「キスしたけりゃ今すぐ歯を磨いてこいやああああ!!」とぶちギレるでしょう。

妄想なら、「いいなあ」と思うのに。

現実と妄想が一致した方が萌える!という方も多いのだろうけど、わたしはある程度そこには距離があった方がいいなあ…と思うタイプ。

高校の時に一瞬付き合った男がまさに、酒にたばこ、けんかに女は支配!というクズだったので(相手も高校生だよ。え、おかしくない?やばいよね)。こういう相手と付き合うことが、どんだけ精神的にも肉体的にもつらいか身に染みている。

この恋愛に懲りてから、7年近く恋愛自体が嫌になって誰も好きにならなかった。そしてその後出会って付き合ったのが、夫クマさん。

清潔。
非喫煙者。
酒ほぼ飲まない。付き合いで飲むだけ。
暴力一切なし。
「お前」呼びも一切なし。

一緒にいて安心できる相手との恋愛は、スリリングなものとこうも違うのかとびっくりした。まあ、恋愛なんて好みがあるでしょうから、スリリングな相手とヒリヒリするような恋がしたい人もいるんだろうけど。

わたしは御免です。安心感が一番大事。

ちょっと斜に構えてて、煙草が似合う男。遠目から見ると、魅力的な男。こんな風に妄想させてもらってごめんなさいね!と思いつつ。スリルは、こうやってたまーに摂取するだけで十分だなと。

日常は穏やかでいい。
たまにスリルを覗ければ。

それは作品でも、こういう街中の光景でも。
きっと逆の人もいるんでしょうね。

そして当たり前だけど、そういう人には同じような雰囲気のパートナーがいるもので。たぶん私たち夫婦も並んだら雰囲気が似ている。どっちが良い悪いじゃなくて、そういう風にできている。

あまりに異なった空気感の人と、一緒に過ごすのは難しい気がする。想像だけども。

マルボロの赤。
「最遊記」の三蔵もマルボロ赤やったなあ…。

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