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フリーのデザイナーの収入内訳出してみた

フリーランスのグラフィックデザイナーの齋藤です。
個人(自宅)で漫画関係のブックデザインを中心に活動しています。最近、noteやYouTubeで立て続けにデザイナーの方が収入を公開しているのを見て、自分もやってみることにしました。
ただし金額を公開するのはさすがに抵抗があるため、項目と割合のみを出してみました。
金額を伏せた上に、やや特殊なため、ただの自己満足となりましたが、自分の頭の中を整理するいい機会になりました。そのためのnoteでもいいのかもしれません。


というわけでまずは円グラフ。
この金額は今年(2022年)の1月から4月のたった4ヶ月間のものとなります。

2022年1月から4月の収入内訳


そして内訳は
・ブックデザイン(紙の本)
・電子書籍デザイン
・漫画家さんの個人出版デザイン
・同人誌売上
・その他
・印税
の6つとなります。
これらをひとつひとつ解説していきます。


1.漫画のコミックス装丁
ダントツなのが紙の本のデザイン(装丁)。
コミックスのカバー、帯、本文の目次や奥付など、漫画のページ以外をデザインします。紙やインクを決めたり、色校を確認したり、作業工程は長めです。
一点の単価が高いため、その分収入が多くなるのも当たり前かもしれません。また、受注が増えているためこの割合は今後も上がっていくかと思われます。


2.電子書籍のデザイン
点数だけだと電子書籍がいちばん多いのですが、一点の単価がそこまで高くないため、紙の本と比べると収入の割合は少なめとなりました。ただしだからといって受注を減らすというわけでもありませんし、現状の漫画界からすると今後も増えていく可能性は高いです。また、紙の本よりも作業量が少なく、ほぼ表紙のみとなるため量をこなしやすい媒体でもあります。



3.漫画家さんからの依頼
最近は漫画家さんから出版社を通さない個人出版のデザインの依頼を頂くことが増えてきました。点数は少なめですが電子書籍や同人誌とほぼ同じ割合となりました。



4.同人誌
過去に私が書いた同人誌すべての売上です。
もっと細かく分けると
・同人イベント(手売り)
・書店委託(メロンブックス、とらのあな)
・電子書籍(BOOTH、Kindle、Unlimited)
に分かれます。
思ったより多めではありましたが、この金額から印刷代やイベント代を引いた金額が正確な利益になります。ただし、今後は新刊を出すことが無くなっていくため、どんどん減っていくことは確実です。量産もできないので収入の頼りにするというよりは趣味という思いの方が強いです。


5.その他
アダルト系や美容系などの単発仕事。
もっとも割合が少なく、単価も安めなものばかりとなります。
今年からお仕事の見直しをしたため、今後はこのようなちょっとした案件は減らしていきます。



6.印税
去年の4月に出版した印税の一部が1月に振り込まれたため内訳の一部となりました。同人誌同様、今後また本を出すことはおそらく無いので、イレギュラーな収入となります。



以上となります。金額が書かれてない以上、想像となってしまうため何だか不親切な記事となってしまいました……しかもニッチな業種で参考にならないかと……でもこういう形にしてみるのは面白かったです。

改めて気付いたことをまとめてみました。

A.出版界の勢いがそのまま個人のデザイナーにも反映されている
B.単価を見るといろいろやることが必ずしもいいとは限らない
C.特に営業は必要ない(紹介、SNS、サイトで充分)

という感じでしょうか。
Aの出版に関してはいわゆる数年前の「巣ごもり需要」で景気がよくなってきました(ただしジャンルにもよる)。
Bに関しては、昔は何でもやります! みたいなスタンスだったのですが、何でもやりますという人ほど何をやっているのかがよくわからなかったりするので、ある程度的を絞った活動も大事なのかもしれません。
最後のCは人それぞれですが、今のところは依頼が来た仕事で精一杯で、依頼が依頼を呼ぶということも多いため、自分から必要以上に動く必要はないのかと感じました。

あと、いちばん言いたいこととしては、趣味で続けていたことが技術になり、仕事になり、お金になったということです。
内訳の1〜6の中で趣味と関係ないのは5だけでした。
あまり楽しいと感じないことを無理してやるよりも、楽しいことを続けたほうがいい結果になった、というのをここ数年で実感しています。

てな感じです。また年末辺りに2022年全体の割合を出してみようかと思います。

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