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*目の前で紙袋が落ちて

今朝、自転車で通勤中のこと。

目の前で紙袋を落とした女性がいた。

あっ落ちた…と思った瞬間、その女性も気づいたのか、ちらっと後ろを振り返ったから、あぁ拾ってあげよう…と思いながら速度をゆるめて紙袋に向かっていたんだけど、その女性は自転車を止めることなくまた前を向いてそのまま行ってしまった。

(えっどうしよう行っちゃう。でも今すぐに拾って追いかければ渡せる?いやでも振り返っておきながら拾わなかったってことはそこまで大切じゃないってこと?でもこれきっとブランド物のいい紙袋だよ?!いいの?いやでも今ここで私が拾ったとして追いつかなくて渡せなかったら?これを拾ったとして私はその先どうする???)


女性が遠ざかっていく中で私はそんなことを思い巡らせながら結局、紙袋を拾わずに過ぎ去ってしまった。

そのあと少し先の信号待ちで女性に追いついてしまったときには自分の選択を悔やんだ。

こういうとき、私はすごくモヤモヤする。
一瞬の判断ができなくて行動できなかった自分に対して。

自転車だと特に判断が追いつかない。しばらくその後悔を引きずりながらひとり葛藤したまま走ることになる。

「落としましたよ!」とひと声かけることが私にできたらな。

それができる人に憧れる。



帰り道、紙袋が道路横のフェンスにかけられていた。きっと誰かが拾ってそこに移したのだろう。改めて思い返すとその紙袋には「DOLCE&GABBANA」の文字が。

どうか落とし主である女性の元へ戻りますように。


最後まで読んでいただきありがとうございます。少しでも「スキ」と思っていただければ嬉しい限りです。