見出し画像

銭ゲバ大行進/唐十郎(視聴リンクあり)

記念すべき1枚目のご紹介。

なににしようか迷いましたが、この「和モノあれこれ」の方向性を示しつつ、和モノで既にある程度人気があり、かつレア度も高いというバランスを考えてこれをチョイスしました。

出だしユッタリ、ミドルテンポの曲ではありますが、冒頭「銭ゲバだーい!」の掛け声から唐十郎の「味」としか言いようのない歌唱、そして「銭ゲバ」という言葉を繰り返すグルーヴィーなサビ。歌詞や演奏もこの時代の空気を詰め込みました、みたいな魅力に満ち満ちた名曲です。

レコードの人気が出る、つまりプレミア価格のレア盤になる条件は「欲しがる人が多い」ことですが(もちろん市場に出回った枚数はしかり)、このレコードはジョージ秋山のマンガが原作(のちに先生終生のテーマとなる「人間の本質に迫る」哲学的な作品としては「アシュラ」に続く初期の名作)であること、映画「銭ゲバ」の主題歌であること、歌っているのがアングラ演劇界の旗手・唐十郎であることなど、マンガファンから映画ファン、サブカル好きまでが欲しがる役満状態で、数年前にCD化されて楽曲の良さも知られるようになりますます中古価格が高騰しました(さらに秋山先生ご本人が作詞で歌詞の世界観はシニカルな原作そのまま、作曲はハマクラです)。

しかし「銭ゲバ」というのは一般的にはいわゆる守銭奴を指しますが、「ゲバ」が「ゲバ棒」などと同じゲバルト(ドイツ語の「暴力」)であるならば「お金の暴力」の意であり、このマンガのタイトルは一般的な意味よりも本来的な意味合いでつけられている気がします。

この時期の流行語であるこういった「ゲバゲバ」「ハレンチ」「ナンセンス」という単語は、和モノを語るうえで今後もたびたび登場します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?