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アッと驚く為五郎/植木等 ハナ肇とクレイジー・キャッツ(視聴リンクあり)

「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」の「アッと驚く、為五郎~」というギャグから生まれた楽曲、1969年のシングルです。大ヒット曲なのでそのフレーズ自体は誰でも知っているのではないかと思いますが、特に昭和歌謡にご興味の無い方でどれぐらい曲自体をしっかりと聴いたことがある方がおられるでしょうか?個人的には時代を反映する最重要曲のひとつではないかと思っています。

以前も書きましたが、この68~69年ぐらいの時期には「ゲバゲバ」「ナンセンス」「ハレンチ(ハレハレ)」というキーワードが流行しました。歌謡曲界においてその代表格がこの曲と言っていいでしょう。

クレイジー・キャッツの作曲と言えば萩原哲晶さんですが、この曲は作編曲共に宮川泰さんによるものです。実際は宮川さんもクレイジー・キャッツの楽曲においてはかなり重要な役割を務めておられると思うのですが、萩原さんへの尊敬をご自身でも語られている通りちょっと一歩引いて支えていたような印象があります。しかしながら、後追いでクレイジーを聴いた自分のような者にとって、どの曲も並列に聴けることもあってこの曲は異色と映ることなく、むしろ曲のクオリティとしては最高傑作ではないかな、と思えてしまうぐらいの出来になっています。

ご本人のインタビューで私もはじめて認識したのですが、当時ヒットしていたセルジオ・メンデス「マシュ・ケ・ナダ」を下敷きにして作曲、アレンジされています。そう聞くとなるほど、リズムは確かにボッサロックであり、「ムヒョ、ムヒョ、ムヒョ~」というコーラスは「オパ、オパ、オパ~」というコーラスのパロディなのだな、ということに気づかされます。言われてみればそのまんまなのですが、筒美京平さんがやると「これはあの曲だな」とすぐに分かるのに対して、宮川泰さんがやるとなんだかいったん消化されている感じがしてしばらく気づかない感じになるのはどういうことなんだろうな、と不思議に思ったりします。

クレイジー・キャッツ=植木等という往年のファンの方からすると物足りない印象なのかもしれないな、とも思うのですが、ギャグ自体がハナ肇のものであることや、ジャケットがメンバー全員が写っている顔ハメジャケットであることも最高のバランスになっているのではないかなと思います。

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